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46.呼吸は万能(?) ページ10






せつなは(いのり)が完全に消えるのを見送りつつ、消えた場所をどこか名残惜しそうに見つめていたのだが、くるりと振り返り無一郎へと向き直った。




「さて、









時透さん、無事ですか?」





状態を聞いてくるせつなを無視して無一郎は無言で立ち上がろうとした。









が、






「呼吸で状態を改善しようとするのは大切ですが、あまり無理をするのはよくありませんよ」




無一郎がせつなの姿に気づいた頃には彼女は無一郎の懐に入り、彼の身体を支えていた。



「胡蝶さんほどの腕前を期待されては困りますが、蝶屋敷につくまでに時間がかかるので応急処置を行います。



取り敢えずそこに座ってください」






せつなは無一郎を座らせ、

持参していた包帯と、てきとうに入手した添え木で応急処置をはじめた。



確かにしのぶほど手慣れたものとは言えないかもしれないが、


応急処置ぐらいのものならば

技術としては十分すぎるものだった。




包帯をぐるぐると巻くせつなを無一郎はジッと見つめた。



しゃがみこみ、無一郎の脚に包帯を巻きつけていたせつなはその視線に反応した。



「どうされました時透さん?


私の顔に何かついています?」



彼女の疑問に答えるのに無一郎は少し間を開けた後、









「……君って馬鹿?」









あまりにも唐突な言葉にせつなは一瞬思考が追いつかなかった。





「……





 


……随分と失礼ですね。






これでも私、貴方を助けに来てあげたんですけど」




無一郎のあまりにも不躾な物言いに彼女にしては珍しくジロリと無一郎を鋭い眼光で睨みつけた。

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作者名:ユズリハ | 作成日時:2020年1月27日 22時

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