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44.「呪い」は「まじない」と呼ぶ ページ8











「あたしの名前は(いのり)






ねぇねぇ、お兄ちゃん。









あたしの操り人形になって?」






目の前のまだ幼く見える少女は十二鬼月だ。


瞳には下弦の壱という文字が確かに浮き上っている。


無一郎は鬼の能力を伺うために「(いのり)」と名乗る鬼から距離をとった。



普段の無一郎ならば、例えそれが下弦の鬼でもあっさり頸を落として終わらせていただろう。



しかし今回ばかりは厄介な鬼だった。



「ほらみてみて!!お兄ちゃんの髪、黒くて青くて綺麗ね!!


このお人形に付けたらもっと綺麗なのなるはずよ!!」



鬼は外見の幼さによく似合った無垢な笑顔を浮かべた。


「あたしの血鬼術はね、とった髪をこの藁人形につけるとね、その人を思い通りにすることができるの!!」





恐ろしい血鬼術だ。



その性質は呪いのひとつ、【丑の刻参り】別名、【いのりの杉】、【呪いの杉】と言われるものとよく似ている。




つまり藁人形を傷つければ髪を取られた無一郎本人も傷つき、もし藁人形を千切ったりすれば…









「お兄ちゃん、死んじゃうね。」









刹那、無一郎は鬼に向かって白刃の日輪刀を突きつけたのだが、





「駄目だよ。お兄ちゃん」




鬼はくすりと笑って藁人形の脚を捻った。



「あは、そんな怖い顔しないでよ。

大丈夫、お兄ちゃん、まだ若そうだからあんまり痛くないようにすぐに人形を裂いて殺してあげるよ」


「………」




藁人形の脚を捻られるのと共鳴し、無一郎は急に脚の骨を折り、体勢を崩して地面を転がり受け身をとった。



無一郎は鬼を無言で睨みつけたが


鬼は動じずに、



むしろ楽しそうなだけだった。





この状況を一言で表すならば、









【絶体絶命】









と比喩するのが正しいのだろう。


緊迫した状況が続く。



















その瞬間、
















「時透さん、死にたくないなら頭下げて」









背後から聞こえた声に反応して無一郎が咄嗟に頭を下げたとき、


「屍の呼吸 伍の型 (むくろ)の月」




赤紫に光る左から右へと弧を描く斬撃が無一郎の頭上を掠めた。









「…あ、あた、しの頸……」







それとほぼ同時に小さな鬼はその体躯によく見合った小さな声を上げた。

45.地獄は地獄で行く権利がある→←43.冷淡な花は前途多難



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作者名:ユズリハ | 作成日時:2020年1月27日 22時

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