52 刹那 ページ2
見知らぬ角を曲がり、時間を潰しながら歩く。
あの二人の会話、気になることしかない。
帰ったらヘチャンは話してくれるだろうか。
………あの様子だと難しそうだ。
路地に入ると急に街灯が少なくなる。
私は会社から来ていた連絡に返信していると
突然『ヘチャンのマネージャーさんですよね？』と前方から声が聞こえた。
少し離れた場所に黒い帽子にマスク。ほとんど顔は分からない。
声色と細身の体型から女性だろう。
私は身構えた。
「どちら様でしょうか？」
『あーやっぱり。そうだ。』
私の質問に答えることなく、その女性はこちらに歩みを進める。
明らかに怪しい。社内の人間じゃない。
「失礼ですが、どなたかと間違えてるのではないですか？」
女性は相変わらずこちらへ向かってくる。
毅然とした態度で対応、マニュアルにも書いてあった。
早くなる脈拍が相手に悟られないよう。小さく息を吐く。
女性はそのまま私の真横に立つと
『応援してまーす』
そう言って通り過ぎて言った。
なんだあの棒読みで心のこもってない一言は。
意図が読めなくて混乱する。
振り返るとそこには既に女性の姿がなかった。
私は途中になっていた会社の連絡を続けようとスマホを握り直した時。
ガチャンッ…
スマホを持っていたはずなのに、それは地面に転がっている。
左腕に違和感を感じ、見てみる。
暗くてよく分からないが風が冷たく感じる。
気づけば光に屯する蛾のように
光のある場所へ歩きながら右腕を街灯にかざす。
「あ…ッ」
そこには肌をなぞる血が滴っていた。
視認すると走る痛み。
思わずその場にうずくまる。
やられた。油断した。あの女だ。
怒りと悔しさと自分への情けなさで、涙が出る。
『あの、大丈夫ですか？』
声がしたので顔を上げると、見知らぬ男性が不安そうにこちらを見ていた。
私は咄嗟に、右腕をパーカーで隠し立ち上がった。
「すみません、大丈夫です」
私は地面に落ちた携帯を拾って、走り出した。
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22(プロフ) - ヘチャンとして生きるための支えが、心休まる瞬間がなるべく多くあれば良いなと思っております。 どうかヘチャンもドンヒョクも作者さまも、心身ともに健康に幸せな夜を過ごせますように。 (1月21日 15時) (
レス) id: 3233d5043a (このIDを非表示/違反報告)
22(プロフ) - 初めまして、ヘチペンです。 常日頃自分が抱える、生涯ヘチャンとしてステージに立ち続けて欲しい気持ちと、ドンヒョクとしての穏やかな幸せへの願いに近いものを感じて一気に読ませていただきました。 (1月21日 15時) (レス) @page18 id: 3233d5043a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：？ | 作成日時：2024年1月19日 9時
