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消えない見えない香り/gr ページ1
(ゴーン…ゴーン…)
『あ、もうこんな時間か…グルさん。今日やる分のやつ終わった？』
カタリと音を立てて彼が席を立つ。
どうやらちゃんと今日の業務が終わったようだ。
「トン氏、終わったぞ。お前も少しは休め」
「あぁ、ありがとさん。グルさんも無理せんようにな」
「あぁ」
『トン氏もグルさんも目の下に疲れが出てきてるよ、繁忙期だから仕方ないのかもしれないけど無理しないでね』
2人は背伸びをした後、ネクタイを緩め、一国を治める総統と書記長から、ただの友達になり、お互いに顔を見合せニヤリと笑ったあと食堂の方へ駆けて行った。
『もう、今日は大先生とらんらんが調理担当だからって気分上がりすぎでしょ笑』
2人の後を追おうとするが、ふと気になってグルさんの机を見ると大量の書類に万年筆、PC。
そして彼の好物である甘味もしっかりと用意されており、その横にはコーヒーが置かれている。
眠気覚ましだろうか。彼にしては珍しくミルクも入っていないそれはブラックのように見える。
『あぁ、まだちゃんと苦いや…』
口にすると１ヶ月前には私もよく口にしていた味が口中を支配した。
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