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｢生まれ変わってもこいつだけにはなりたくないわ！｣
いつも通りケラケラと楽しそうに笑うチーノと、苦笑いを浮かべるうつくんと、横目でこちらの様子を伺ってくるショッピ。
高校が同じだったチーノ、ショッピと、同部署の先輩であるうつくんとの飲み会は定期的に開催されているのだが、毎回2回は必ずこのような空気になってしまう。
勿論原因はこの男、チーノ。
今日はうつくんの女癖の悪さについて話していたはずなのに、いつの間にか“付き合うなら誰か”に変わり、気付けば“生まれ変わるとしたら誰になりたいか”という話題に辿り着いていた。
その結果、チーノの口から零れ出た一言によって空気が凍りついたのだ。
いつもなら同じように言い返して、ショッピに宥められて、へらへら笑いながら謝るチーノを許してやる、そのはずなのに。
｢ちょ、Aちゃ、｣
『え』
｢外行こか｣
状況が呑み込めないままショッピに手を引かれ、店から出ると袖でグシグシと頬を擦られる。
思わず『何するんだ』と腕を掴むと、クスクスと笑ってから私の頭に手を載せた。
｢無意識？泣いてますけど？｣
『え』
｢チーノ、目まんまるなってたで｣
少しお酒が回っていたのか、勝手に涙が零れ落ちていたらしい。
良い大人が、恥ずかしいやつ。
｢Aも物好きやな、チーノはないやろ｣
一通り笑って満足したのか、思わず座り込んだ私の隣に並んだショッピは、遠くを見つめながら口を開いた。
『なに、嫉妬？』
｢ちゃうわ、お前がダメ男ホイホイになりそうやから忠告｣
『余計なお世話って知ってる？』
｢元気そうでなにより｣
勢いよくツッコんだ私の手を掴み、それから立ち上がったショッピは
｢戻るか｣
と店ののれんをくぐった。
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