＊ ページ11
「おい、おっさん」
「──俺の女に何触ろうとしとんねん」
アイツの声がして、そのまま抱き寄せられた。ゆっくりと目を開ける。そこにはやっぱり彼がいた。
男たちが何か言う前に睨みつけ、私の手を引き歩き出す。繋いだ手は暖かく安心感をくれたが、いつもよりも力強く握られ彼の怒りも伝わってきた。周りはこんなにも騒がしいのに私達の間にだけ沈黙が流れる。
『…ねぇ、』
呼びかけても返事はない。
『ねぇってば！シャオロン！』
「あ"？」
周りに人がいない場所に来て、やっとこちらを向いたその瞳はやはり怒りを映していた。少しだけ悲しくて、でもまだ、まだ間に合うはずだから勇気をだして声を出す。
『…その、ごめん。手離しちゃって』
『あと探しに来てくれてありがとう』
そう言いきって、恐る恐る彼の方を見れば空いた方の手でガシガシっと頭をかいていた。そしてこちらを向き
「…もっと早く見つけてやれんですまん」
「そしたら怖い思いさせんで済んだのに」
さっきは他のことに気を取られて気づかなかったが額には汗が、そして頬も赤かった。そうか、走って探してくれたのか。その事実が何よりも嬉しくて、胸がいっぱいになった。あれこれ言いたかったのに気づけば言葉がポロリと零れた。
『ありがとう』
『─大好き』
その言葉に被せるように花火が夜空に打ち上がる。さっきまでお互いを映していた瞳は美しい光に奪われる。
『き、綺麗〜〜〜！』
「うお、でっかいな」
手を繋いだまま空を見上げる。花火の音は大きく隣に居る彼の声ですら聞き取りづらくしてしまう。
「…A」
『え？何か言った〜？』
彼の顔が耳元にぐっと寄る。そして少しだけ照れくさそうな声が鼓膜を揺らした。
「──俺も好きや」
『うぇ！？！？！』
いきなりのことに変な声が出た。それを聞いて隣の彼の肩が震える。
「驚きすぎやろ」
『わーらーうーなー！！！！』
正直その後の花火は上手く集中して見れなかった。どくどくと大きくなる心音を隠してくれる花火にただただ感謝するばかり。
もしかしたら隣の彼もそうかもしれない。
そうだったらいいな─、なんて思いながら火照る頬を誤魔化すように手で仰いだ。
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マエガミくん - ケンカップルか?ケンカップルだ (2020年8月7日 11時) (
レス) id: aad72d0660 (このIDを非表示/違反報告)
ライシャ - ｢一目惚れなめんなよ！｣いいですね！ (2019年12月31日 7時) (レス) id: 2cbf0b2098 (このIDを非表示/違反報告)
茶壺(プロフ) - 完結おめでとうございます！読むたびに可愛さで胸が締め付けられる最高の青春でした！次回作も楽しみに待ってます！ありがとうございました (2019年11月29日 18時) (レス) id: 88f565e6cf (このIDを非表示/違反報告)
あっぷぅティー - 素直になれない二人がめっちゃ可愛いです！！応援してます！更新頑張って下さい！ (2019年7月30日 20時) (レス) id: 9e25397495 (このIDを非表示/違反報告)
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