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私の頭に彼の手が添えられ顔が上げられず彼の表情が見えない。
「私はあらゆる可能性を考えて、そして自らの意志でここに来ました。」
「あなたがいなくなると知った時まだ何も返せてないと思ったんです。普段から言葉にはしませんでしたが私はあなたに幾度も助けられました。それなのに私は……」
エーミールさんの私を抱きしめる力が少しだけ強くなる。
「……なぁ、お願いやから何も返せてない俺の前からまだ消えんといて。」
「どうかAのそばに
「叶うならばAの意志で俺の手を掴んで欲しいんや」
少しだけ鼻をすする音が聞こえた。ずるいなぁ。そんなこと言われたら掴んだらダメなのにその手を掴みたくなる。気づいたら私も泣いていた。
『…あの日の約束ちゃんと実行せんとなぁ』
『エミさん、旅行しようやぁ』
「ええ、喜んでお供しますよ」
結局その手を離せない無能な私をどうか今だけは許して。そう誰かに許しを乞うことしか出来ない。
エミさん。私はあなたにね、数え切れないぐらいたくさんのものをもらったよ。お返しできてないのは私の方やから。ごめんね、ごめんね。私はあなたに何も返せずままあなたの前から消えるんよ。最低な無能で本当にごめんなさい。
そう口に出してしまいたかった。ええよ、って許して欲しかった。心にあるのは後悔と我儘ばかり。
あなたの涙を見て私の涙が酷く汚れたものに見えた。
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もふもふ - 初コメします。今泣きながら読んでます。神作品を産んでくれてありがとうございます。 (2022年11月24日 18時) (レス) @page12 id: a41408c385 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - 水月華さん» すみません。そうだったんですね…。勝手なことをしてすみません。ですが私の端末ではコメを消せないので作者様が消してもらえるといいです。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
水月華(プロフ) - 当作品の中にパスワードについて記載しておりますのでそちらをご確認ください。申し訳ないのですが読みたいと思っている方だけに読んで頂きたいと思っておりますのでそうでない人の目にもとまりやすいコメント欄でパスワードを書くのはやめてください。 (2019年11月6日 8時) (レス) id: fac1d7eb45 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - パスワードは1029です。本人様ではなくすみません。ストーリーの中で見つけられず、コメ欄に来た方々にこのコメを見ていただけるとありがたいです。 (2019年11月4日 15時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
案山子 - 凄く面白い作品でした!是非続編が見たいので、パスワードを教えてもらってよろしいでしょうか? (2019年11月4日 1時) (レス) id: 51ee2da9ff (このIDを非表示/違反報告)
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