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真っ暗で視界が悪い森の中を走る。ここを抜ければ完全に城の敷地から脱出することが出来る。あと少し、あと少し。そうすれば私は完全にここから逃げられる。
しかし出口が近づけば近づくほど私の足は重くなる。速度を落としたいわけでも疲れている訳でもないがなんだか足が上手く回らない。
そしてついに出口が見え、そこで完全に足が止まった。自分でも未練がましくて笑ってしまう。自分で決めたことなのにそれすらもやりきれず、ぐるぐるとまた悩んでしまう。
やはり無能。まさしく私にお似合いの言葉。ここから出てもきっと何も変われない。それでも後戻りはできない。帰る場所などないのだから。ゆっくりと重い足を上げて最後の一歩を踏み出す。ゆっくりとしかし確実に森の外へと出て行く体。そして完全に外に出る。
『………あっけないもんやな………』
ぽつりと呟いた言葉は誰に届くわけでもなくひっそりと闇に溶けるはずだった。
「そうですね」
勢いよく声のした方を向けばそこには
『…エーミール……？』
「はい、なんでしょうAさん」
『えっ、え？なんで…』
「すみません、兄さんとの会話が聞こえてしまって…。でも、私以外の人は誰も聞いてませんでしたから！」
心底驚く私にエーミールはあたふたと弁明をする。ここで捕まってはせっかく送り出してくれた兄さんに申し訳ない。どうすればいい？どうすれば目の前の優しい彼を傷つけずここから抜け出せるのか。考えれば考えるほどわからなくなってしまいにはその場にフラリと座り込んでしまいそうになる。
「あっ！勘違いしないでくださいね。私はあなたを捕まえに来たのではない。ただあなたとの約束を果たしに来たんです」
『…やく、そく……？』
「覚えてなくてもしょうがないですね、まだこの国ができてまもない頃の話ですから」
暗闇ではっきりとは見えないがエーミールは懐かしそうに目を細めた気がした。そしてゆっくりと話し始めた。
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もふもふ - 初コメします。今泣きながら読んでます。神作品を産んでくれてありがとうございます。 (2022年11月24日 18時) (
レス) @page12 id: a41408c385 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - 水月華さん» すみません。そうだったんですね…。勝手なことをしてすみません。ですが私の端末ではコメを消せないので作者様が消してもらえるといいです。 (2019年11月6日 22時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
水月華(プロフ) - 当作品の中にパスワードについて記載しておりますのでそちらをご確認ください。申し訳ないのですが読みたいと思っている方だけに読んで頂きたいと思っておりますのでそうでない人の目にもとまりやすいコメント欄でパスワードを書くのはやめてください。 (2019年11月6日 8時) (レス) id: fac1d7eb45 (このIDを非表示/違反報告)
うさ - パスワードは1029です。本人様ではなくすみません。ストーリーの中で見つけられず、コメ欄に来た方々にこのコメを見ていただけるとありがたいです。 (2019年11月4日 15時) (レス) id: 95908891b8 (このIDを非表示/違反報告)
案山子 - 凄く面白い作品でした！是非続編が見たいので、パスワードを教えてもらってよろしいでしょうか？ (2019年11月4日 1時) (レス) id: 51ee2da9ff (このIDを非表示/違反報告)
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