【wrwrd】家出します探さないでください【all】

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体を擦りながらシャワーを浴びようと自室に戻る。やっと着いた自室はタバコの匂いで充満している。灰皿には積み重なった吸殻。



元々吸ってはいなかったのだが1度吸い始めてからイライラすると吸ってしまうようになった。それに加えて最近は寝付きも悪いため手持ち無沙汰になるとついつい吸ってしまう。いい加減にしないと体に良くないのだが。まぁ、心配してくれる人など誰もおるまい。駄目だ、今日は少々ナイーブすぎる。



シャワーを浴びて幾分か体が暖まり、さて総統閣下に書類を提出しに行こうと部屋を出るとどこからか漂う美味しそうなご飯の匂い。私は急いで部屋に戻り洗面台に腹の中(と言っても大して何も食べていないので胃液ばかりだが)のものをぶちまける。




またやってしまった。荒く息を吐き鏡に移る自分を見るとひどい顔だ。シャワーのせいでコンシーラーが取れひどいクマが現れていた。あぶないあぶない。コンシーラーを塗り直し口をゆすぎ今度は慎重に部屋から出る。




ドンッ



今日はどうもいけない、注意力が散漫すぎるのだ。しかしぶつかった相手はこちらを見ることも無くずんずんと去っていった。まぁ、非番だったようだしわざわざこんな無能にぶつかったぐらいで声もかけたくあるまい。



天と書かれた顔を覆う布をのけ最後に笑いかけてくれたのはいつだっただろうか。まぁ、それもまた私が無能なせいで。しょうがない、しょうがない。




───




やっと着いた総統室。ノックをしていつも通りヘラヘラとした声を出す。



『失礼します、Aですぅ。』
「入れ」



中に入るとおや、どうやらオスマンさんとサボり中だったらしい。書類を手渡すと特に目を通すわけでもなくポンッと机に置かれる。


うーん、徹夜して頑張ったんやけどなぁ。


ギロり深紅の目がこちらを向く。向か緑の目はまるで私などいないかのように優雅に紅茶を飲んでいる。


「用が済んだならさっさと出て行け」
『わかってますって！ほな、失礼しますぅ』


ぱたん。


響く音が妙に虚しい。


いつからだっただろう、あの深紅の目と深緑の目がいたずらっ子のように細められ秘密のお茶会に誘われなくなったのは。


まぁ、それもまた私が無能なせいで。しょうがない、しょうがない。




目が回って少しだけふらついた。

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