【wrwrd】長年付き合ってる彼氏が推しだったていう話聞く？【tn】

彼女と彼氏と秘密 ページ26

「あのな、俺が…」








「──トントンやねん」







彼女が顔を手で覆う。そして俺のほうに倒れてきて、ぎゅっとシャツを握りしめた。


「うおっ！？」
「だ、大丈夫か…？」


一切返答しない彼女。終いには鼻をすする音が聞こえてきた。思わず頬に手を添えて上を向かせる。


「…すまん、俺が推しとか嫌よな…」


謝ればキッと怒ったようにこちらを向いた。


『そんなわけないでしょｯｯ！！！』
「お、おう」
『…うー！ずっとずっと好きでした！というか好きです〜〜〜！！』
『あ"〜〜だめだ、好き、やばいまってまって、すきだ………』
「あ、ありがとう…？」
『………好きな人が推しって最高すぎじゃん………』


ひとしきり言い終わったあと彼女はまたポスリと俺の胸の方に倒れ込み体を預けた。あーとかうーとか言っている彼女が可愛らしくて思わず抱きしめる。


『とんちゃん』
「どないしたん？」
『私今世界一幸せだ。だって大好きな彼氏と最推しが一緒なんだよ？しかも結婚するの！』
『ほんとに幸せだ』
「…俺も幸せや」


顔を上げた彼女と視線がぶつかる。しばらく見つめあったあとキスをひとつ。


抱き寄せればすっぽりと収まってしまうほど小柄で華奢な彼女。


『ねぇとんちゃん』
「ん？」
『世界で1番幸せにしてあげる』
「ふはっ、えらい男前やなぁ」


随分と男前なことを言う彼女に思わず笑ってしまう。






優しくていつも笑顔。小柄で可愛く、料理も上手い。いたずら好きな所もあるがそんな所も含めて好きだ。


喧嘩することも泣かせることもきっとこれから先たくさんあると思うがしっかりと掴んだその手を離すことがないように。





「これからもよろしくな」
『こちらこそ』




ずっと俺の隣で微笑んでいて欲しい。




なんて本人には絶対に言わんけど。

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