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彼氏と彼女 ページ24

ガチャ


扉が開く音で目が覚める。どうやら寝てしまっていたようだ。まだぼんやりと覚めきらない脳で状況を把握する。


「ただいま」


その声にまだ目が腫れていることを忘れて振り向いた。驚いたように大きく見開いた赤い瞳と視線が交差する。


「ど、どないしたん…?」
『別になんでもないよ』
「こんなに目腫らしといてなんでもないはないやろ」


彼の手が私の頬に伸びてくる。私はその手を咄嗟に払ってしまった。


「!!」


やってしまった、そう思った時には既に遅くて。重苦しい空気が2人を支配する。ほんの数秒でいいから時間を巻き戻したい、そんな出来もしないこと願って俯いた。


「……なぁ、俺なんかしてしもうた?」
『やからなんでもないって』
「…他に好きなやつでもできたん?」


その言葉を聞いて頭に血が上った。


『それは!』
『それは、とんちゃんのほうでしょ…?』


初めの一言は威勢よく大きな声で、しかし次の言葉は肯定されるのが怖くて絞り出した声は情けなかった。


「は?」
『最近目を合わせてくれなくなったし、どこか素っ気なかった』
『今日一緒に歩いてた女の人すごく綺麗で、スタイルもよかったし性格だって良さそうだったしあの人のこと好きになったんでしょ?』
『嫌いなら嫌いってはっきり言ってよ』


1度口にしてしまえば止まらなかった。次から次に溢れる言葉につられる様にボロボロと涙が頬を伝う。


ふわり、久々に感じた彼の体温と香り。抱きしめられていると理解するのにそれほどかからなかった。


「俺が好きなのはAだけや」


さらに力強く抱きしめられる。


『うそ、つかんで』
「嘘なんかつかへん」


体が離れどことなく緊張していることが伝わってくる彼の目と視線が合う。


私の腰かけるソファーの前に彼が跪いた。その手には小さな箱がある。私の鼓膜を揺らすのは緊張して硬い彼の声。






「A、さん」
「今まで生きてきた人生の中で一生一緒にいたいって思えたのはAだけなんや」
「これから先泣かせることも喧嘩することもあると思うけどそれ以上に幸せにしたいって思うねん」
「やから、どうか俺と」




「──結婚してください」



小さな箱を開けば綺麗な装飾の施された指輪。初めは上手く理解できなくて言葉が出てこなかった。でも嬉しくて嬉しくてどうしようもなくて涙だけがただ溢れた。


彼の首元にぎゅっと抱きつく。そうして私はひとつしかない答えを告げるため口を開く。




『喜んで』

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らばーしざー - 初コメ失礼します……!はっきり言います!最高ですか……!?もう最初っから最後まで尊いの詰め合わせすぎてずっとニヤニヤしながら読んでました()最高に可愛いすぎて心が浄化されまくりました。ありがとうございました!! (4月1日 16時) (レス) id: ccb9d23ce7 (このIDを非表示/違反報告)
人外人間白乃雫(プロフ) - 翻訳機を使っています とても素晴らしい作品です!。私はあなたを応援する!。 (3月13日 9時) (レス) @page28 id: 4a8cb482e0 (このIDを非表示/違反報告)
774 - 爆発しました!!最高です!!これからも応援してます! (2022年1月26日 22時) (レス) id: ac6e1f1de0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(em推し) - 完結おめでとうございます!!なんか寂しくなります…うわぁぁあん(T-T)でも本当におめでとうございます!! (2020年5月2日 15時) (レス) id: 5357f72739 (このIDを非表示/違反報告)
はちごろう(プロフ) - はあ〜(満足)すごく良き!一気に読んでしまいました。特に電車のくだり、構成もよくってドキドキしながら読めました!ラストも綺麗にまとまっていて読後感最高!素敵な作品をありがとうございました。完結おめでとうございます!! (2019年8月31日 12時) (レス) id: 7fbb6746f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水月華 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年1月20日 20時

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