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「ねぇ、お兄様。
今日は誰がいらっしゃるの？」
数日前に父エルロンドから、
客人が来ることを知らされ、
Aたちはその準備に追われていた。
「僕たちの仲間であり」
「僕たちの友だちさ」
双子の兄弟が嬉しそうに言う。
兄たちの友。
そう言われAは緊張する。
「(嫌われないようにしなくては)」
そう、自分に言い聞かせるA。
なぜなら自分だけが人間であるためだ。
父、兄、姉に加え
裂け谷に住むエルフたちに
受け入れてもらい
大事にされていることは
彼女にとってどれほど嬉しいことか。
でも、他のエルフから見れば
なぜ人間がとなるかもしれない。
彼女はより一層気を引き締めた。
「セティ。そんなに緊張しなくても大丈夫さ」
エルロヒアの言葉が嘘ではなかった
とわかるのは少し先のことになる。
しばらくすると、
客人が到着したと知らせを受けた。
Aたちは急いで迎えにでた。
そしてエルフの中でも
見目麗しいエルフと出会うこととなる。
「やぁ！よく来たね。レゴラス」
「元気だったかい、エルラダン、エルロヒア」
「あぁ、元気だったとも」
久々の再会に抱擁を交わす3人。
そんな3人をAは
少し羨ましそうに見つめていた。
ふと、レゴラスが彼女に気づく。
「そちらの女性は？」
「目敏いな。俺たちの妹のAだ」
"妹"
その言葉に眉をひそめるレゴラス。
彼女はどう見ても人間だったからだ。
「初めまして、レゴラス様。
Aと申します。以後お見知りおきを」
兄たちに紹介され、
慌てて自己紹介するA。
レゴラスは彼女の優雅な動きに
見惚れてしまった。
「な、可愛いだろ」
エルラダンの言葉に彼は頷き、
そして彼女の手を取り挨拶した。
「私は闇の森の王
スランドゥイルの子レゴラスです。
私は君の兄上たちの友です。
気軽にレゴラスと呼んでください」
彼の申し出に困惑するA。
レゴラスの後ろにいた
兄たちを見やると頷いていた。
「それでは私のことは
セティとお呼びください」
彼女の言葉に嬉しそうに彼は笑った。
「よろしくセティ」
「よろしくお願いします。レゴラス」
これが2人の出会いだった。
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作者名：奏風 | 作成日時：2022年9月19日 20時
