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16-3 ページ29

「どうやら、意思は固いようじゃな。
妾が何を言っても変わらぬか」


ガラドリエルは残念そうに呟く。


「そなたはこの世で
朽ち果てるまで生きたいか」


そう問われ、Aは平和な世で
レゴラスと共に時を刻んでいきたい
と思ったが口にすることはできず、
無言を貫いた。

しかし、ガラドリエルには
それがわかっていた。


「希望は捨てるでないぞ。
力の使いどころを間違えるでない。

そなたが身に付けているその指輪も
妾もそなたの幸せを願っている」


ガラドリエルの言葉に
Aは涙を溢した。

父エルロンドを始め、
兄のエルラダン、エルロヒア、姉のアルウェン、
今までAを受け入れてくれた者たち、
そして、レゴラスの姿が
走馬灯のように駆け巡る。

消えたくない。皆と一緒に居たい。

その気持ちが強く大きくなり
Aを覆う。

ただひたすら涙を流すAを
ガラドリエルは静かに抱き締めた。

この時Aは自分の体が不思議と
軽くなるのを感じていた。

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作者名:奏風 | 作成日時:2022年9月19日 20時

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