五関くんの幼なじみ

2007年　大学受験（塚田）4 ページ18

もちろん、お迎えも4人で行った。
出てきた奏は疲れた顔をしていた。
でも、やりきったという
すがすがしさもあった。

　「奏ー、こっちこっち」

出口できょろきょろしていた奏に
手を振りながら名前を呼ぶ。

奏「みんな。お迎えまでありがとう！」
河「で？どうだった？」

今終わったばかりなのに、
手ごたえを聞く河合。
ちょっとは空気を読めよって
視線を送るが伝わってない様子。

そんな僕の視線に奏が気付いて
苦笑しながら河合の質問に答えた。

奏「かなり手ごたえあるよ。
　 ただ、英語がなぁ・・・(笑)」
五「まぁ、終わったことだし、いいじゃん。
　 さぁ、帰ろっか」
戸「ちょーっと待って。
　 僕さ、お店予約してあるんだけど、
　 ご飯食べに行かない？
　 奏の試験お疲れさん会ってことで
　 もちろん、奏の好きなお魚料理のお店だよ」

ウィンク付きでそう言ったとっつー。
やることがイケメンだ。
そんなとっつーの言葉に
目を輝かせる奏。
他のみんなもいいね。と乗り気だ。

奏「あ、でも俺今日、お金持ってない」
戸「何言ってるの？
　 奏は僕のおごりだよ」

え？ととっつーを見る僕たち。
その様子に慌てて言うとっつー。

戸「奏だけだよ。おごるのは。
　 他のみんなは自腹です。
　 嫌ならついてくんな！」

笑顔で言うとっつーの
おそろしいこと。おそろしいこと。
そんな俺たちの横で、
お魚お魚とピョンピョン跳ねている奏。
かわいいと思ってしまう。

仲間外れにされるのは嫌だから、
きちんとお金を出すことを条件に
お店に連れて行ってもらった。

次々と出てくる、
魚料理を口に入れるたび
幸せそうな顔をする奏。
僕ととっつーと五関君は、
奏と河合には申し訳ないと思いながら、
お酒を飲んだ。

気付けば、時計は
もう22時をすぎていた。

五「あちゃー、奏寝てる」

そういえば、静かだなぁと思えば、
奏は壁によりかかって寝ていた。
そりゃ、疲れるよね。

五「俺、こいつ、連れて行くわ
　 とっつー、ありがとうな。
　 塚ちゃんも、郁人も
　 こいつのためにありがとうな。
　 お金ここに置いとくな。じゃ！」

そう言って、五関君は
奏を担いで帰っていった。

主役がいなくなったため、
僕たちもすぐお開きになった。
最後には3人で
奏の合格を願った。

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