第二話 ページ4
*
その日の夕食、朝より落ち着いた様子の叔母が言った。
「新しい教科書は二人で買いに行ってちょうだい」
「また一緒に行けないのっ？」
「ごめんねえ、ルルちゃん……」
叔母はルルの頭を撫でた。そして、溜め息を吐くと鋭い目付きでこちらを見た。
「……わかってるわね？」
ルルが危険な目に遭わないように、叔母はそう言いたいのだろう。
「勿論です、叔母様」
それはいつものことだから。私は微笑みを作って当たり障りのない返しをした。
突然、窓の方から物音がした。固い何かで窓を突っついたような音だ。
不思議に思いながら近付いてカーテンを開けると、一羽の梟がいた。夜の暗闇の中で目立つ、綺麗な白い梟だ。
「ヘドウィグ？」
間違っていなければ、この梟は魔法界の英雄−−ハリー・ポッターのペットだ。
家の中に入れてあげると、ルルの横へと静かに翔んでいき足を差し出した。そこに括られていた手紙をルルが丁寧にほどくのを横目に、私はキッチンに向かう。ヘドウィグにクッキーをあげる為だ。
ふと、叔母の方に目をやると、ヘドウィグを見つめて目を見開いて驚愕していた。叔母の可笑しな様子に首を傾げながら、私は声をかける。
「どうかなさいましたか、叔母様？」
叔母は震えていた。まさか、極度の鳥嫌い？ 否、そんな話は聞いたことがない。それなら何が理由なのか。それは、私の朝の疑問の答えに繋がるかもしれない。
手紙は、やはりハリーからのものだった。彼の手紙によると、彼は今度の水曜日にウィーズリー一家とハーマイオニー・グレンジャーと共に新しい教科書を買いに行くようだ。私達二人もダイアゴン横丁で会わないか、とのことだ。
「断る理由はないよねっ！」
「……叔母様、よろしいでしょうか？」
私達が叔母に目を向けると、叔母は小さく頷いた。
手紙の返事をヘドウィグの足に括った。
彼らとは「漏れ鍋」で合流する予定だ。煙突飛行粉(フルーパウダー)を使い暖炉から出た所から共に行動する。
私達は、ヘドウィグにハリーへの誕生日プレゼントも届けてもらうことにした。その為、ヘドウィグには負担がかかるかもしれない。
「大丈夫かなあ……？」
心配そうなルルの声に、ヘドウィグは力強く鳴き声を返した。頼もしいね。
「ヘドウィグ、ありがとう」
クッキーを少し食べると、ヘドウィグは再び夜空に舞った。
床に残された白い羽根を、叔母は忌々しそうに睨み付けていた。
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璃雨(プロフ) - 出会った頃より大人になってしまったけれど、何度読み返しても大好きな作品です。またどこかで闇霧さんの紡ぐお話と出会いたいです。プレッシャーになってしまったら申し訳ございません。素敵な作品をありがとうございました！ (2月13日 20時) (
レス) id: b41fde6459 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 初めてまして！すごく面白くて最初から、一気に読んでしまいました！更新はもうされないのですか？ (2021年11月12日 16時) (レス) @page25 id: 71df9104ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きをお願いします。姉が妹にあんたのことなんか大嫌いだって言うところと、そんでもって姉が救われるところが見たいです。どうかお願いします。 (2021年3月12日 0時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - この作品が大好きです。更新再開、いつまでも待ってます。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
純菫 - 私自身、この作品が大好きなのでこれからも応援しています。 (2019年2月16日 13時) (レス) id: 570a47b5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇霧 | 作者ホームページ：存在しないようですよー。
作成日時：2016年9月25日 18時
