第一話 ページ3
*
「おはようっ！」
朝食の準備を終えたと同時に、金髪の少女が姿を現す。この子は私の二卵性の双子の妹−−ルル・ミルキテット。寝癖が付いたままの髪をそのままに席に着いた。
「今日も美味しそうだねっ。流石お姉ちゃん！」
何が楽しいのか、ルルはニコニコと笑っている。
どうでも良いから食べてくれないだろうか……早く食器を洗い、他のことを終わらせないと私の自由時間が減ってしまう。
「ルルちゃん、食べるのはゆっくりで良いのよ。喉に詰まったら大変でしょう？」
ルルが食べ始めて少しして、叔母が二階から降りてきた。決して私には向けられない穏やかな微笑みを浮かべ、ルルの隣に座る。
……ゆっくり食べられると私が困るのだけど。勿論、喉に詰まらせるのも面倒だからほどほどのペースでお願いしたい。
郵便物を取る為に玄関に向かった。
広告や叔母宛の手紙の中に、黄色味がかった封筒が混ざっていた。羊皮紙の上には、緑色のインクで宛名が書いてある−−ホグワーツからだ。
……そういえば、何故この家には梟がいないのだろうか。マグル(魔法使いの血が一滴も流れていない人間)からの郵便物が普通に届くことは当然だが、ホグワーツや魔法界とのやり取りは梟を使うのでは？
「お姉ちゃん、 どうしたのっ？」
玄関から戻らない私に、ルルの大きな声が掛かった。
梟のことは気になるが、それは後にしよう。
二人の元に戻ると、叔母は私が手にするものにすぐ気が付いた。近付いてくる叔母は目をつり上げている。
−−殴られる。
目を瞑った瞬間、頬に痛みが走った。
「どうして！ どうしてなの！？」
ヒステリックに喚く叔母を無視し、私は手元から落ちた広告を拾い上げる為に屈む。
床に広がる広告の中から、ホグワーツの手紙を見付けたらしいルルがそれを拾った。
「……痛い？」
全て拾い終え、立ち上がった私を見上げるのは潤んだ琥珀色。
今更なんだと言うのか。ホグワーツに入学する前までも、このような光景はよくあったというのに。姉を心配する優しい私−−そんな偽善に酔っているのか。もしくは本当にただの阿呆なのか。
この子を嫌いな理由の一つ、それは見分けがつかないこと。ころころと変わる表情で気持ちを察することは簡単なのに、それが本当かどうか怪しい。本物か偽物か。この子を見分けられない。
「お姉ちゃん？」
−−わからない。それはなんて面倒なことなのか。
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璃雨(プロフ) - 出会った頃より大人になってしまったけれど、何度読み返しても大好きな作品です。またどこかで闇霧さんの紡ぐお話と出会いたいです。プレッシャーになってしまったら申し訳ございません。素敵な作品をありがとうございました！ (2月13日 20時) (
レス) id: b41fde6459 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 初めてまして！すごく面白くて最初から、一気に読んでしまいました！更新はもうされないのですか？ (2021年11月12日 16時) (レス) @page25 id: 71df9104ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きをお願いします。姉が妹にあんたのことなんか大嫌いだって言うところと、そんでもって姉が救われるところが見たいです。どうかお願いします。 (2021年3月12日 0時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - この作品が大好きです。更新再開、いつまでも待ってます。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
純菫 - 私自身、この作品が大好きなのでこれからも応援しています。 (2019年2月16日 13時) (レス) id: 570a47b5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇霧 | 作者ホームページ：存在しないようですよー。
作成日時：2016年9月25日 18時
