第十六話 ページ18
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「『……車を盗み出すなんて、退校処分になってもあたりまえです。首を洗って待ってらっしゃい。承知しませんからね……』」
突如、女性の怒鳴り声が大広間に響き渡った。
手に持っているトーストを落としそうになり慌てていると、隣でセオドールが咳き込む。百倍ほどに拡声された声に驚き、食べ物を喉に詰まらせたようだ。オレンジジュースを渡し、何が起きたのかと周囲を見る。
−−グリフィンドール席に、赤い封筒が浮いていた。
その封筒の近くには、平然を保とうとするハリーがいる。隣には真っ赤な額だけが見える。あれはロンだろうか。そういえば、怒鳴り声に聞き覚えがある。きっとこの声はロンの母親だ。
「『……こんなことをする子に育てた覚えはありません。お前もハリーも、まかり間違えば死ぬところだった……』
ハリーの名前が飛び出し少しすると、封筒は静かになった。そして、炎となって燃え上がり灰となった。当事者のハリーとロンは、呆然と椅子にへばりついている。
だんだんと大広間に話し声が戻ってきたところで、私はセオドールに問いかけた。
「あの封筒はどういうものなの？」
「『吠えメール』だ。彼の事情は知らないが、同情はする」
セオドールは顔を引きつらせていた。全校生徒の前で、晒し者のようにああなるのは誰もが嫌だろうね。スリザリン生には嘲笑を浮かべている者もいる。その中でも一際ドラコが楽しそうなのはいつも通りだ。
それから少しすると、スネイプが時間割を配り始めた。最初の授業は、闇の魔術に対する防衛術の授業だ。あの薄っぺらな男の授業に期待などしていないが、受けないわけにはいかない。
セオドールとパンジーと共に、各々七冊の教科書を抱えて教室に着いた。適当な位置に座ろうとしたが、パンジーが一番前の席以外座ろうとしないためそこに座った。これから始まる億劫な時間のことを考えると、ため息が漏れてしまった。
「どうしたの？ もうすぐ、ロックハート先生の授業よ？」
「……だからだよ」
パンジーは「先生、あんなにかっこいいのに」と呟き、不思議そうに首を傾げている。どうやら意見が合うことはなさそうだ。
「ああいう男が良いのか？」
「どこが良いのかはわからないけど、人それぞれだからね」
眉を寄せるセオドールにそう返すと、パンジーが立ち上がってロックハートの魅力を語り始めた。
−−ロックハートが現れたのは、授業が始まる時間から十分が過ぎた頃だった。
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璃雨(プロフ) - 出会った頃より大人になってしまったけれど、何度読み返しても大好きな作品です。またどこかで闇霧さんの紡ぐお話と出会いたいです。プレッシャーになってしまったら申し訳ございません。素敵な作品をありがとうございました！ (2月13日 20時) (
レス) id: b41fde6459 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 初めてまして！すごく面白くて最初から、一気に読んでしまいました！更新はもうされないのですか？ (2021年11月12日 16時) (レス) @page25 id: 71df9104ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きをお願いします。姉が妹にあんたのことなんか大嫌いだって言うところと、そんでもって姉が救われるところが見たいです。どうかお願いします。 (2021年3月12日 0時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - この作品が大好きです。更新再開、いつまでも待ってます。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
純菫 - 私自身、この作品が大好きなのでこれからも応援しています。 (2019年2月16日 13時) (レス) id: 570a47b5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇霧 | 作者ホームページ：存在しないようですよー。
作成日時：2016年9月25日 18時
