第十五話 ページ17
*
「これは、ミサンガというのじゃよ」
手渡されたのは赤色と金色のもの。髪ゴムではないのか。初めて目にした。ダンブルドア曰く、ミサンガが自然に切れたら願いごとが叶うのだとか。
私は首を傾げる。これをどうしろと？ 何故これを渡されたのか。先程逸らしたあの双眸に再び目をやると、ダンブルドアは険しい顔をしていた。
「それが必要にならんことが一番じゃがのう。もしものためじゃ。A、それを常に身につけていなさい。必ず君や君の周りの人間を守るじゃろう」
「……はい」
きっと、深く追及しても無意味だ。ダンブルドアが何の話をしているか理解ができない。が、だからこそ私に内容を教えてくれないのだろう。
ダンブルドアに促され、ミサンガを手首に巻き付ける。すると、去年の誕生日にハリーから貰ったブレスレットが視界に入った。小さく揺れるそれは黒色と藍色。ミサンガとの対極的な色合いに、何故か笑いそうになる。
「素敵なブレスレットじゃのう」
ダンブルドアからもブレスレットは見えていたようだ。先程までの険しさは消え、慈愛に溢れる表情を浮かべている。
−−嬉しい、と一年前の私は笑っていたはずだ。
それ以前は、私自身に贈り物をしてくれる人なんていなかった。ルルのおまけだったり、ルルに親しくなるためだったり。下心の見え透いた愚鈍なやつらばかり、もう少し上手くやれば良いのにと何度思ったことか。
「大切にするのじゃよ」
「勿論、そのつもりです」
校長室を出て寮へと向かう。歓迎会が終わってから、かなり時間が経ってしまった。少し眠気も感じるし、早めに寝る支度を済ませよう。
「『純血』」
新しい合言葉を唱え中に入る。談話室を素通りし、懐かしい部屋へと向かった。
端に置かれた自分の荷物を確認していると、パンジーがベッドの上から話しかけてくる。
「話って何だったの？」
「話はよくわからない……核心を隠されたままだった。これを渡されたよ」
手首につけたミサンガを見せれば、パンジーは楽しそうに高い声を上げた。
「ミサンガね！ 願いごとはしたの？」
「……してないよ」
「えー……」
キラキラと目を輝かせていたパンジーは、私の返事に肩を落とし口を尖らせている。そんな不満そうに見られても困るのだけど。
−−私の願うこと。去年のように、誰かを巻き込むのは嫌。だから強くならなくてはいけない。願いというよりは、決心に近い。
……私らしくないね。
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璃雨(プロフ) - 出会った頃より大人になってしまったけれど、何度読み返しても大好きな作品です。またどこかで闇霧さんの紡ぐお話と出会いたいです。プレッシャーになってしまったら申し訳ございません。素敵な作品をありがとうございました！ (2月13日 20時) (
レス) id: b41fde6459 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 初めてまして！すごく面白くて最初から、一気に読んでしまいました！更新はもうされないのですか？ (2021年11月12日 16時) (レス) @page25 id: 71df9104ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きをお願いします。姉が妹にあんたのことなんか大嫌いだって言うところと、そんでもって姉が救われるところが見たいです。どうかお願いします。 (2021年3月12日 0時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - この作品が大好きです。更新再開、いつまでも待ってます。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
純菫 - 私自身、この作品が大好きなのでこれからも応援しています。 (2019年2月16日 13時) (レス) id: 570a47b5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闇霧 | 作者ホームページ：存在しないようですよー。
作成日時：2016年9月25日 18時
