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「え〜、なんでそんなこと言うの〜！？ひなた、別のグループだけど仲良くしようよ〜！」
雨歌は目がピクピクとするのをおさえ、ひなたに話しかけた。
ひなたが再び、一瞬だけだが雨歌の方を見た。雨歌はそれを逃さず、ひなたと目を合わせる。
そして、ニコッと笑いかける。
「は？話しかけないでって言ったじゃん。気安くひなたって呼ばないでくれる？」
本当だったら、すぐに本性を見せてやりたい。だけれど、そこで見せても何の解決にもならないし、面倒くさいことになりかねない。
後ろで拳を強く握りしめて「いいじゃん！じゃあ、またね〜！」と愛想が良いアイドルを演じた。
そして、自分の荷物が置いてある楽屋に向かうと「アイツの性格、俺にそっくりでうざっ…」と裏の顔を出した。
物に当たりそうになってしまったが、それを何とかこらえる。
うちの姪っ子はアイツのファンらしい。どんな奴なのかと見てみたが、どこが良いのか。姪っ子曰く、可愛くて、時々にしか見せないファンサが堪らないとのこと。ひなたをテレビで見た時は、大興奮だったなと思い出した。
意味わかんない、と鞄を背負うと同時に振り払う。
早足に楽屋から去って行った。
＿＿＿
数日後も、ひなたに話しかけて様子を見た。
しかし、ひなたが雨歌に心を開くことはなかった。
しかし、今日。
「…俺がそれを黙って聞き流すとでも？」
いつものように、愛想良く交わしていこうと思ったが先程、つい本性を見せてしまった。
ひなたはほんの一瞬、目を開いたがすぐに戻った。そして、そのことを気にすることもないかのような表情をしていた。
そして、少し言い争いになって「お互い嫌い」という雰囲気がダダ漏れていた。
しかし気がついた。ひなたは、雨歌の本性を知っても他の奴らに言わない。それは彼の良いところであると言えるだろう。
「ライブとか、ほんとキツ…」
雨歌は窓辺を見つめながら、大きくため息をついた。
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