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明後日の朝になり、雨歌はいつもの朝より早く目覚めた。いつもは擦っても擦っても重い瞼が、軽く開いた。昨夜しっかり支度を済ませた荷物をチラリと見て、朝飯を取ろうと下に降りた。
「おはよう、雨歌！」
「えっ」
なんと、姉が豪華な朝食を用意していた。いつもと変わった朝食に、雨歌は思わず目を見開いた。
理由を聞くと、姉は「今日、お友達と出かけるんでしょ？」とニコニコした笑顔で言った。
そうだけど？と素っ気ない態度を取る雨歌に、姉はふふふっと笑う。そして、姉は雨歌が反応するようなことを雨歌に向けて言った。
「お友達と仲を深めるのもいいけれど、好きな人とかいないの？雨歌、モテる方でしょう？なのに、付き合ってたことは一つもないよね」
「…興味ない」
今の興味ないという言葉の前には、何かが入ったはずだ。その言葉は、彼の名前だろう。やや目を逸らし気味にしたのが悪かったのか、姉は含み笑いをして、わかっているようであった。
ちかも起きてきたところで、朝食をとり、変装をする。そして、待ち合わせ時間より早めに着くようにと「いってきます」と家を出た。
駅に着くと、待ち合わせ時間までに30分はあった。早く着きすぎだと思われがちだが、雨歌はそうではなかった。駅前にある本屋で本をペラペラとめくり、本を一冊購入した。その本は、今日旅行で行くところについての雑誌。
待ち合わせ場所で本をペラペラとめくる。ある程度下調べはしたのだが、近くに動物園があるのだという。そして、今日一泊するホテルは高級なんだとか。
しばらく、雨歌は暇を潰して待った。
＿＿＿
「ごめん、待たせちゃった？」
切花がやや焦り気味で、こちらに小さく手を振りながら向かってきた。首を横に振ると、よかったと微笑んだ。しかし、その笑顔にはどこかぎこちない。
電車に乗り込もうと、ホームへと足を運んだ。
電車に乗り込んで、予約していた席へと腰を掛ける。雨歌はぎこちない間を何とか壊そうと、口を開く。
「目的地まで、昼あたりまでには着くらしいね。…動物園が近くにあるみたいだけど、どう？」
自分でも、何とかしようとしているのが馬鹿らしいと思った。しかし、何か話さないとと脳内で呼びかけているのがわかっていた。
「動物園？うーたんが良かったら行こう！」
切花は微笑むと、快くOKしてくれた。その後、少しだが、今日や明日の予定について話し、目的地へ着くまで待った。
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