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いつもなら無駄に抵抗したり、戸惑って真っ赤になったり
それでもおずおずと腰に手を回してくれるのに
腕の中の翔くんは、ただ俺の体に身を預けていて。
胡乱な目をした彼に、どこか違和感を覚えた。
「……智くん」
「ん?」
「離し、て。俺もう行かなきゃ」
「……え」
俺の胸をそっと押して体を離してゆく翔くんの手を
遠ざかってゆく体温を
動揺した俺は、捕まえることができなかった。
「何があったんだよ翔くん……」
・
その3日後。
今日は5人で雑誌の撮影がある。
いつも通りの時間に楽屋に入ると、既に3人がいて
いつも早く来て新聞を広げている翔くんの姿が唯一無かった。
ようやく翔くんが来たのは時間の5分前。
それなのに、何も言わず静かに楽屋に入って来た翔くんに全員が違和感を覚えた。
「翔さんおはよ」
「………ん、」
壊れかけた鈴みたいな声。
体調が悪いのか、寝起きで頭が回らないのか、それとも……。
翔くんは誰とも目も合わせず、新聞も携帯も出さずにただ俯く。
固く固く高く積み上げられた、翔くんを支えていたものが
大きく崩れ始めているような気がした。
「……なぁ、しょーくん。今日うち来ない?」
早く翔くんを助けなきゃ。
一刻も、早く。
「最近あんましデートしないでしょ? 一緒にご飯食べに行ってさ、そのあと泊まっていきなよ」
「オォーーッ! 相変わらずお熱いですなぁ!」
「リーダーから誘うなんて珍しいよね」
空気を少しでも和ませようとしてくれているのか、普段は俺たち二人の関係に介入しない3人ももてはやす。
若干恥ずかしいけども、ちょっとでも翔くんの心が軽くなるならなんでもいい。
「翔くん…どうかな?」
翔くんはやっぱり俯いたままだ。
「でも意外ですねぇ。大野さんとのデートなんて釣りか自宅くらいしか無さそうなのに」
「んはは、確かに!笑」
「俺だってたまにはちゃんと恋人らしくすんだぞ!」
「翔さんも大変だね」
「ねね、翔ちゃんは大ちゃんのどういうとこに惹かれたの?」
_____ガタンッ
激しい音を立てて突然立ち上がった翔くんの息は荒れていて。
そのぐらぐらと揺れた瞳に誰もが息を忘れた。
次の瞬間、翔くんは隣にいた相葉ちゃんに______掴みかかった。
「ちょ、翔ちゃん!?」「しょーくん!!」
二人はそのまま床に倒れ込んで
馬乗りになった翔くんの手は、相葉ちゃんの首に伸ばされていた。
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大翔(プロフ) - kkさん» 主催の者ではなく、練習曲29番を書かせて頂いただけの私ですが、主催の方がまだ作者さんを続けていらっしゃるのか分からないので、かわりにコメント失礼します。コメントしていただいて本当にありがとうございます! (2020年1月24日 23時) (レス) id: 7ff2e3a340 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 素晴らしい作品!全部すごく良かったです。s受け尊し。 (2020年1月24日 23時) (レス) id: c2bfb0fe32 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - Sさん» 突然失礼します、向日葵です。こちらはあまり更新しないのですが、青い鳥にて騒いでることが多いのでよろしければ…(@air__ap) (2018年2月1日 16時) (レス) id: 76ade9e498 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 返信ありがとうございます!! 早速検索かけます! (2018年1月28日 3時) (レス) id: 539aafff22 (このIDを非表示/違反報告)
あま音(プロフ) - Sさん» 恋色は青い鳥(@Kw_C2a)もやっておりますよ(*^^*) (2018年1月27日 9時) (レス) id: 95b1de6e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「赤い櫻は冬に咲く」製作委員会 x他6人 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月21日 9時