検索窓
今日:6 hit、昨日:9 hit、合計:232,281 hit

ページ13

Oサイド



「離れて……ッ、近づかないで!!

話聞いたなら、分かるでしょ?
俺…今智くんに何しちゃうか分かんないから……」



「……しょーくん」




がたがた震える手で、掠れた声で

もがくように俺から距離をとる翔くんの手首を掴んだ。


どう接するのが正解なのか、どう振る舞ったら翔くんを傷つけるのか
考える余裕はなかった。


「嫌ッ、離して智くん…! 智くんまで傷付けたくない!!」

「なぁ翔くん。俺の話、聞いてほしい」



どんな手を使ってでも俺の声を届けなきゃ、今の翔くんを助けられないから。


「俺は、翔くんを愛してる」

「や、め」


「ほんとだよ。翔くんが好きでたまらない。ずっとずっと、死ぬまで愛してる。

だからね、俺は翔くんになら何されても構わないの」




ねぇ、翔くん。



「翔くんが翔くんじゃなくなったら、俺も俺じゃなくなる。

悲しくて、感情さえもうなんも…無くなるんだと思う」


俺の右手は翔くんの左手を握るためにあるんだよ。

俺の目は翔くんの笑顔を見るためにあるんだよ。






「俺が一番嫌なのは翔くんに傷付けられることじゃない。

翔くんが元気じゃないこと。

翔くんが、翔くんじゃなくなることなの」


「さ、とく……」



「俺に頼ることを躊躇わないで。 俺に迷惑かけること、嫌わないで」



掴んだ手首を引き寄せて、もう片方の手で翔くんの髪を撫でる。

少しの抵抗を見せたけど、今度はちゃんと近寄ってくれる。





「我慢しなくて良いんだよ」


「____ッ、」





綺麗な綺麗なその顔がくしゃ、と歪んだ。

そうすることを一体どれだけ耐えていたんだろう。




「ずっとここにいるから。……気済むまで泣きな?」


そっとそっと、抱きしめた。

壊れないように。割れて溢れてしまわないように。


翔くんはもう、抵抗しなかった。




「……さ、と……く……ッ」

俺の肩が濡れ始め、抱えた肩は震え始める。


不器用な翔くんは泣き方までぶきっちょで。

声を押し殺して、絞り出すように涙をぽろぽろ零していた。




「なんで俺なの」
「どうしてこんなことされるの」
「なんで、俺は何も言い返せないの」


縋り付くように俺の手を握り返して、翔くんはそう呟き続けた。



本音を零す翔くんの姿は、綺麗だった。


やっと翔くんが戻ってきてくれて、嬉しかった。







・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (212 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
661人がお気に入り
設定タグ:s受け   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

大翔(プロフ) - kkさん» 主催の者ではなく、練習曲29番を書かせて頂いただけの私ですが、主催の方がまだ作者さんを続けていらっしゃるのか分からないので、かわりにコメント失礼します。コメントしていただいて本当にありがとうございます! (2020年1月24日 23時) (レス) id: 7ff2e3a340 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 素晴らしい作品!全部すごく良かったです。s受け尊し。 (2020年1月24日 23時) (レス) id: c2bfb0fe32 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - Sさん» 突然失礼します、向日葵です。こちらはあまり更新しないのですが、青い鳥にて騒いでることが多いのでよろしければ…(@air__ap) (2018年2月1日 16時) (レス) id: 76ade9e498 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 返信ありがとうございます!! 早速検索かけます! (2018年1月28日 3時) (レス) id: 539aafff22 (このIDを非表示/違反報告)
あま音(プロフ) - Sさん» 恋色は青い鳥(@Kw_C2a)もやっておりますよ(*^^*) (2018年1月27日 9時) (レス) id: 95b1de6e50 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:「赤い櫻は冬に咲く」製作委員会 x他6人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月21日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。