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「じゃあ、今日はここまで！宿題はテキストの15ページな。終わっていいぞー」
帰る支度をし始める子、宿題をメモしている子を背に黒板を消していると
「先生」
不意に『彼』の声が耳元で聞こえて思わず肩が震えた。
振り向くと、案の定。
不本意ながら、俺が惚れてしまった生徒……二宮和也。
この想いが、許されるものではないことは知ってるし、そもそも叶うわけがないことも知ってる。
だから、誰にも言わない。伝えない。
ただ、この琥珀色の瞳に見つめられた時の胸の高鳴りだとか、女子と楽しそうに笑い合う姿を見つけた時の黒いドロドロとした感情だとかを、二宮を教える３年間、やり過ごすだけだ。
「どうした？」
にこ、と笑ってみせると二宮は何故か不機嫌そうな顔。
何でだよ、俺何もしてないだろ。
「ここ、教えてください」
二宮が指した問題は、公式を2つ使わなきゃいけないちょっと厄介な問題で。
「こんなのもうやってるのか。すごいな」
感心すると「ありがとうございます」って嬉しそうな顔。
なんか可愛い……じゃなくて。
「これはなー、」
説明しようとして、う、と一瞬息が止まった。
同じ問題集の同じ問題を覗き込んでるから仕方ないんだけど、二宮の顔が近い。
うわこいつどんだけ肌綺麗だよとかちょっといい匂いする気がするとか変態じみたこと考え始めたらもうダメで、顔が赤くなりそうになるのを必死で堪える。
「…あれ、先生」
ん？と答える前に二宮の冷たい右手が俺の耳を掠める。
「ヒッ」小さな悲鳴が喉から漏れた。
「先生の耳、熱い」
「え」
「何かあったんですか？」
ああ、だから。
全部、二宮のせいだ。
そんなかっこいいのに、馬鹿みたいに近い距離感なんだ。俺みたいのがいてもしょうがないだろ。
もちろん女の子ならもっといるだろうし…。
「何でも、ない」
教え子で、
男で、
おかしいくらいモテる奴にドキドキしてしまう教師、なんてとっとと卒業しなければ。
その為には離れることが1番だ。
塾講師と生徒に変な距離の近さはいらない。
「……黒板で説明した方が分かりやすい…よな！」
「え」
瞳に戸惑いの色を見せる二宮を無視して、俺は黒板に式を書いていく。
二宮とは、必要以上の距離の近さはいらない。できるだけ離れる。
改めて、そう心に誓った。
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大翔(プロフ) - kkさん» 主催の者ではなく、練習曲29番を書かせて頂いただけの私ですが、主催の方がまだ作者さんを続けていらっしゃるのか分からないので、かわりにコメント失礼します。コメントしていただいて本当にありがとうございます！ (2020年1月24日 23時) (
レス) id: 7ff2e3a340 (このIDを非表示/違反報告)
kk - 素晴らしい作品！全部すごく良かったです。s受け尊し。 (2020年1月24日 23時) (レス) id: c2bfb0fe32 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - Sさん» 突然失礼します、向日葵です。こちらはあまり更新しないのですが、青い鳥にて騒いでることが多いのでよろしければ…(@air__ap) (2018年2月1日 16時) (レス) id: 76ade9e498 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 返信ありがとうございます！！ 早速検索かけます！ (2018年1月28日 3時) (レス) id: 539aafff22 (このIDを非表示/違反報告)
あま音(プロフ) - Sさん» 恋色は青い鳥(@Kw_C2a)もやっておりますよ(*^^*) (2018年1月27日 9時) (レス) id: 95b1de6e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：｢赤い櫻は冬に咲く｣製作委員会
x他6人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月21日 9時
