遠くて近い、私の太陽 2 【日向翔陽】

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「Aー！ただいま！」


「おかえり、っとと」


玄関が開いて洗面所に走っていく音。


しっかり手洗いうがいを済ませた翔陽くんが


苦しくなるくらいキツく抱きしめてくれた。


「翔陽くん」


呼びかけても返事がない背中をぽんぽん叩く。


甘えてって言うくせに自分だって下手くそなんだから。


「泣くの我慢しなくていいよ」


「…なんでバレた」


「試合終わったあとあんなに悔しそうなのに頑張ってたから？」


「そんな早くからかー」


体を離してやっと彼の顔を見る。


うるうるした大きな目から1粒こぼれ落ちて、


その後は小さい子みたいに泣き出した。


「悔しかった」


「うん、観てたよ。かっこよかった。」


「俺がもっと拾って、決めてたらって、」


「無理して話さなくていいよ。大丈夫。」


私に抱きついたまま、泣く翔陽くん


私たち2人とも1番上だから、泣くの得意じゃないんだよね


知ってるから甘えて欲しい。


全部受け止めてあげたい。


「でもさ、またセット上手くなったでしょ。木兎さんとも影山選手ともピッタリだった」


「ん、そこ気づいてくれんの嬉しい」


赤くなった目で笑う顔が可愛い。


小学生くらいに見えてくる。


「イタリア戦の2セット目かな、フェイクトスかっこよすぎて悲鳴あげちゃった」


「あれか、あれはさ俺というかよくオミさん入ってきてたなーじゃない？」


「まあ確かに佐久早選手すごいなって思ったけど、翔陽くんが打つと思ったもん、びっくりしちゃった」


「なんか、行けそうな気がして」


「ドンピシャだったもん、凄かった」


余程嬉しかったのかぎゅうぎゅう抱きしめられて苦しい。


悔しいことが今はまだ1番に来てるかもしれないけど、


この大会で沢山翔陽くんのカッコいい所見つけたよって


沢山楽しませてもらったよって伝えなきゃ。


「試合終わったあと、俺にオファーくれたチームに所属してる人たちに話しかけられた」


「えーすごい」


「めっちゃ悔しかったけど一緒にやるの楽しみ」


きっと翔陽くんのことだから、


もう未来のチームメイトと仲良くなってるんだろうな。


「うん、私も翔陽くんがスーパーリーガでやるのすごく楽しみ。」

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