遠くて近い、私の太陽 2 【日向翔陽】

＊ ページ16

「え、えぇー！！」


「だから迎えに来たかったんだ」


「いつ？いつの間に？」


「1か月前かな、さすがにすぐは乗せるの怖くて。」


お昼すぎ、着いたよの連絡を貰って


荷物をまとめて下に降りたら


車の隣に立つ翔陽くん。


「通ってたってこと？」


「そう！A助手席に乗せてどっか行きたいなって。まあ今日は俺ん家なんだけど。荷物ちょうだい。」


「ありがとう…ええ、すごい。」


「初心者マークには目つぶって」


「そんなの全然、すごいね。かっこいいね。」


「こんな褒められてどうしよ、運転下手とか思われたら。」


荷物を乗せた翔陽くんが助手席のドアを開けた。


そんな女の子扱いに顔を赤くする余裕もなく


運転席に座るかっこいい彼氏を見つめた。


「そんな見る？」


「ご、ごめん。かっこよくて。」


「座るだけでこれって、免許すげー。出発するからシートベルトして。」


「はい」


すごい大人に見える。


ちょっと遠くになっちゃった気がして、


元々遠いのかもしれないとか思い直して、


勝手に寂しくなった。


「到着！」


「ありがとう、すごいね翔陽くん。」


「運転なんて、結構してる人いるのに。」


ちょっと笑った翔陽くんが


優しい声で私の名前を呼んだ。


頭に手が添えられて、


優しくて、甘くて、少し苦しいキス。


「き、急に？昼間だよ？」


「キスはしたい時にするもん！」


「うう、不意打ちは恥ずかしい」


「予告したって恥ずかしがるでしょ。」


「それもそうだけど〜！」


ほっぺたが熱すぎる。


手を当てて俯いたらのぞき込まれた。


「いやもうしないよ、部屋でね」


「なんかえっちい」


「えっちいとか言うと手加減しないよ？」


「ひええ」


するってほっぺたが撫でられて


慌てて目を瞑ったら


そのまま手が頭に移動した。


「何に寂しくなったの」


「え？」


「なんか、運転中悲しそうな顔してたから」


「してた？」


「うん」


「翔陽くんが、大人だなって。ちょっと遠くなっちゃったなって思ったんだけど元々遠いやってことに気づいて悲しくなりました」


「遠くないよ、近いじゃん。今も。」


「うまく説明出来ないけど…私も免許取ればいいのか」


「しばらくは俺が色んなとこ連れてってあげたいからまだいい！」


「いや、いつかは取らないとって思ってたし」


「大丈夫！Aは好きなだけ俺の隣座ってて！」

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す