狂愛疾患

第45話 仁王side ページ48

仁王side

A……AｯAｯｯ！！

どうか俺から離れんといてくれッ……跡部なんかの所に行っちゃダメじゃ…

ずーっと…ずっとずっとずぅっと、俺と一緒におってくれ…

もうA以外、何も望まんから…どうか、俺を選んでくれ


あぁ、靴下を履かずにスリッパで来たせいで足が痛い
上着を着てないせいで寒い

仁王「はぁっ…はぁっ…」

苦しい…でも、足を止めるな、

今すぐAから跡部を離さんといかん
跡部は頭が回る、きっと純粋なAは騙される

そうならん為にも俺がしっかりとAを守らんと

仁王「はぁっ…な、なんじゃ…これ…」

角を曲がればAの家…という所で、曲がったら一面銀世界

仁王「なんで、ここだけ雪が…」

疑問を感じつつもギュムギュムと雪を踏めば既に足に感覚はなかった

仁王「あと少し…あと少し…」


やっとの思いでAの家の前に着けば既に電気は付いていなかった

はよ、Aを匿わんと…

その一心でチャイムを押そうとした時

柳「もう少し頭を使え」

仁王「さんぼー…」

〜〜〜〜

仁王「参謀！？…離せ！今すぐ……ングっ！」

掴まれた腕は振り払えず強行しようとしたら口を抑えられた

柳「ついてこい」

そう言われ結局はその場を後にし、どこに行くのか分からず歩き始めた

柳「まずは上着を着ろ」

仁王「……」

雑に渡された上着を着れば参謀は呆れたように溜息をついて

柳「そもそも、跡部とAは家族なんだから俺たちは干渉出来ないんだ。それに、家族とクリスマスのようなイベントを過ごすのはごく自然なことだ。しかも、跡部は帰国子女なのだから尚更じゃないか」

仁王「そうじゃけど…跡部はダメじゃ……ぎゃ、逆に参謀はいいん…柳「良いわけないだろ。この感情は理屈じゃ説明できないからな」…ならｯ｣


何も出来ない無力感、Aの隣にいるのが跡部だという事実にポロポロと涙が流れる

柳「お前の気持ちは分かるが、俺は慰める為でも同情する為でもなくお前と協力する為に来た。明日の朝、俺と2人でAと跡部を引き離すぞ。最低でも精市に跡部の事をバレないように」

精市が怒ると怖いからな。と参謀らしくない抽象的な言葉だが理解はできる

もし、幸村が跡部とAが一緒にいることを知ったら…

Aが危険…

柳「明日の7時にAの家の前で……どうにか2人でAから跡部に離れるように説得するんだ。出来るか？」

仁王「プリッ」

これは誰のためでもないAのためぜよ

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