狂愛疾患

第20話 後半仁王side ページ23

貴方side

仁王「ハァッ……ハァッ……A、やっと見つけたぜよ」

私に傘を差し出してるせいで彼はびしょびしょだ

寒そう

貴方「もう少し頭冷やしたいから」

目の前に傘をそっと彼の方に押し返した

仁王「もう十分冷えたじゃろ！？このままだと風邪ひくなり…だからはよ帰ろ？」

声を荒らげて必死に言ってるけど何故か全然聞こえない

雨のせいか私が聞きたくないのか

貴方「心配してるの？」

仁王「ああ！！心配しとる！」

私の腕を引いて彼はそう言った。勢い余って彼に身体を預けてしまう


そして抑えきれず吐き出すように

仁王「誰よりも大切だからっ…傷ついてほしくないんじゃ…！！誰よりも愛しとるから…ずっと……ずっとずっと笑顔でおってくれっ……！」

雅治は傘を放り捨てて私を思いっきり抱きしめた

仁王「愛しとる……本当に愛しとるから今だけでも慰めさせてくれ…」

貴方「うん」

もうどうしたらいいの？


仁王side

すまんA……

騙してごめんなさい
嘘ついてごめんなさい
綺麗なAを穢してごめんなさい


でも…俺が苦しいのも、苦労しとるのも、幸村の言いなりになっとるのも全部ぜんぶゼンブ…俺を騙した跡部のせいじゃろ？

だから…俺を恨むのはお門違いのはずじゃ

全ての発端はアイツやから

だから…俺やなくてアイツを恨んでくれ

そんでずっと俺を隣に居させて…

大好きだから愛しとるから大切にするから守るから……どんな形でもええから隣に居させてほしいんじゃ

〜〜回想〜〜

幸村「素直にAに謝って俺たちと切るか、宍戸にイリュージョンして続けるか選べ」

……クソみたいな選択肢

前者を選べば俺は孤立無援状態

最悪Aに恨まれたまま、例え仲直りしても幸村達に恨まれる

後者を選べば背水之陣

高確率で仲直りできるが、Aを騙し続けんといかんし、幸村の命令には絶対服従…

仁王「具体的な数字だとどうなんじゃ？」

柳「イリュージョンすれば54%。謝れば20%……仁王「俺はイリュージョンを続ける」

やればやるほど良くないことなんか俺が一番分かっとる

でも、許してくれ

柳「時間がないから手短に言うぞ」

〜〜〜

冗談じゃろ？

俺がAにそんなに惨いことを…

悲しんどるAを想像するだけで既に心が痛い

幸村「仁王…できるだろ？お前の手でAを堕とせ」

仁王「イエッサー…」

すまん、A

決して言えない謝罪を胸に秘めて

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