秘密 ページ47
「何してんの」
掴まれた腕が痛い。
「ゆめちゃんの知り合い？」
一気に不機嫌になる顔に、私は慌てて掴んできた手を振り払う。
「ううん！私こんな人知らない…こわいよぉ」
ご機嫌取りに、今度は私が腕を掴んで"その人"に擦り寄る。
「は？何言うてんの？Aやろ？」
(こいつ、！)
「あの、人違いだと思います…ショウマさん、もう行きましょ？早く二人きりになりたいです」
上目遣いで見つめると、気を良くしたのか、私の腕を引き、歩き出す。
後ろから聞こえる制止の声には耳を傾けず、私達はそのまま夜の街へと向かった。
─────────────────
「おはようございます。今日もよろしくお願いします！」
礼儀正しく挨拶するAは、昨日のAと同一人物とは思えない。
「おはようA」
「っ、濱くんおはよ！」
一瞬、顔が引き攣ったように見えたが、すぐにいつものAに戻った。
「A、ちょっと話したいことがあるんやけど」
「ん？どうしたの？」
「昨日、公園前らへん一緒に歩いとった人、誰？」
目をそらされないように、Aの顎をつかむ。
「え、いきなりどうしたの〜？濱くん怖いよ？」
「ええから。早よ答えて」
圧をかけると、諦めたのかAはすっと表情をキツくした。
「…あそこはさぁ、空気読んでくんなきゃ困るんだよね。しかも本名バラしちゃうとか」
バカじゃないの？と嘲笑うかのような目で、俺を見つめ返してくるAは、今までに見たことない表情で、どきりとする。
「誰にも言わないでね？二人だけの秘密」
そしてあの媚びるような声で、Aは俺に囁く。
(あぁこれは、)
「っ、扱い上手すぎひん？」
「ふふ、なんのことー？」
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作者名：みぃこ | 作成日時：2023年3月28日 18時
