待ち4 ページ12
あれから、濱家さんとは少しずつラインでやり取りをしていた。ただ、実際に会って話す、なんてことは、あの日からまだ一度もない。
事後のベッドで、画面をスクロールしながら、帰ったら何の録画を見ようかなぁ、と考えていると、横からの視線に気づく。
「ん？どうかした？」
「いや、最近他に男でもできた？」
「え」
「なんとなくだけど」
相変わらず勘が鋭い、というか。
(もともとは、私の気持ちもわかってて、利用してるもんね)
背を向ける彼に内心毒づきながら、でもどこか、離れがたくて抱きつく。
「できてないよ、私が好きなのは…」
彼の名前を呟いても、軽く頭を撫でられるだけで、それ以上の言葉は返ってこなかった。
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「お！お疲れさん」
「ご、ごめん！遅れちゃって、」
「いやいや、まだ10分前やで笑」
カラッと笑う彼に安心する。
「濱家さん忙しいでしょ？時間もったいないなって」
あれからまたさらに調べてみたところ、彼らかまいたちというコンビは、テレビ以外にもいろんなメディアに引っ張りだこのようで、こんな人と偶然出会ったのか…と驚愕した。
「んー、でもAちゃんと会う時間は、ちゃんと確保しとるから大丈夫やで」
あぁあの人とは違うな。最近そんなことばかり目につく。濱家さんが優しすぎて、あの人の私に対する態度と、どうしても比較してしまう。
「今日はな、俺のお気に入りのとこ、行こ思てんねん」
こうして、自然と手を引かれることにも慣れるときが来るのだろうか。
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「私のこと、もう好きじゃないんだろうなぁって、わかってるのに別れられないんだよね」
優しい濱家さんに頼って、あの人への愚痴をこぼす。
「あー、ちょっとわかる気がするわ」
「え、わかるの？」
「うん、俺も結構、一人の人間に執着するタイプやから」
そうなんだ、知らなかった。彼の意外な一面を知ることができて、少し嬉しい。
「でも、そろそろ本当にお別れしなきゃねぇー」
グラスを持ったまま、机に突っ伏す。
「そうやなぁ…なぁ、もしよかったらなんやけど」
「ん？」
顔を上げると、どこか気まずそうにしている濱家さんと目が合う。
「もし、別れたら…俺と付き合ってくれへん？」
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作者名：みぃこ | 作成日時：2023年3月28日 18時
