会う ページ45
金曜日の夜。パチっと明かりを付け、荷物を置く。
もう慣れてしまったけれど、やっぱり寂しい。会っていない時間が長すぎて、最近は彼への接し方も、ぎこちなくなってきているくらいだった。
(はぁ、お腹空いた。早く作ろ)
腕まくりをして冷蔵庫を開ける。何を作ろうかと、食材を取り出しながら悩んでいると、ピコンっと通知音がなる。
(もう、何〜?)
どうせ仕事の連絡か何かだろうと、気落ちして画面を見ると、そこにあったのは、数週間ぶりの彼からの連絡だった。
「今から家行ってもええ?」
嬉しいはずなのに、今彼に会ってもどう接したらいいのかわからなくて、いいよと気軽に打ち込めない。
(気づかなかったことにしよ、)
これ以上目に入らないようにと、少し躊躇しつつもスマホの電源を切った。
─────────────────
「…はぁ」
ビールを流し込みながら、テレビをぼーっと眺める。
(すごいなぁ…)
画面の向こうで笑う彼を見ながら、自分との差に酷く虚しくなる。
彼の職業柄、忙しいことは良いことだ。だからこそ、寂しいなんてわがままは、彼の足を引っ張るだけだとわかっている。
─────────────────
3本目を開けてから、だんだんと眠くなってくる。このまま寝てもいいかと目を閉じようとしたとき、ガチャっと玄関が開く音ともに、
「A!!」
と大きな声が聞こえてきた。
25人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みぃこ | 作成日時:2023年2月16日 15時