わがまま ページ18
「いーやーや！！」
「やから俺も嫌やけど無理なんやって、もう行かな」
玄関に向かう彼の腰にしがみついて、駄々をこねる私。正直言ってみっともなさすぎる。
「なんでこんな朝早くからいかなあかんの？ホンマに嫌なんやけど！！私のりゅうくんじゃないん…？」
一緒に過ごせる時間が少なすぎて、たまにこうして感情をぶちまけてしまうことがある。
(もうやだ、本当に直したい)
そんなことを心の中で考えながらも、まだ離れたくなくて更に力を込める。
「ごめん！ほんまにごめん！でももう行かなあかんねん。帰ってきたらまた一緒に過ごそ？な？」
困ったように笑って、頭をそっと撫でてくれる彼の大きな手に、私も力を緩める。
「ごめん、そうやんな。りゅうくんが一番大変やのにこんなん言ってしもうて…私もお仕事頑張る」
だからお互い頑張ろうね、なんていまさら大人ぶった態度を心がけても、やっぱり寂しくて。それを悟られないように、私はそそくさと玄関へと向かう。
「ほら！お見送りするから！」
手招きをすると、りゅうくんもこちらへ来て靴を履く。
「ほんならいってくるわ」
立ち上がり、こちらにくるりと向いて爽やかな笑顔見せる彼に
「うん！応援して、ん、」
声をかけようとしていきなりキスをされる。
「んぅ、、はっ、ちょ、んん、」
一度始まったそれは長くて、息継ぎも必死でするほどだった。
「ん、じゃあ今度こそ行ってくるわ」
数十秒後、彼は満足げな顔をして、放心状態の私を置いて出て行った。
(あとは帰ってからやな…A朝から可愛すぎて…ほんま勘弁してほしいわ、)
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作者名：みぃこ | 作成日時：2023年2月16日 15時
