楽しみ ページ40
今日もバタバタと劇場内を駆け回る。スタッフになりたての私は、先輩から指示されたことをなんとかこなそうと必死になって、毎日を過ごしている。そんな忙しい中でも、唯一の楽しみが、
「お、お疲れ様ですっ!」
「お疲れ様です、Aさん」
そう、この見上げるくらい高身長の彼、濱家隆一さんだ。
「今日も大変そうですね」
「そうですね〜!でも勉強になることばかりなので、頑張ります!」
こうして挨拶がてら話している間にも、
「Aー!」
と私の名前が呼ばれる。
「あ、はい!すぐ行きまーす!!…ってことなので、わたしもう行きますね!濱家さんも頑張ってください!応援してます!」
一礼して、呼ばれた方へと向かいながら、私はいつの間にか笑顔になっていた。
「あぁ、もう行ってもうた…」
「どうせまたすぐ会えるやろ」
「でも、今日もしもう会えへんかったら、また一ヶ月後とかやろ?俺、耐えられへんわ」
「いやいや、会えるやろ。ネガティブすぎひん?」
相方に慰められながら、彼女の後ろ姿を見送る。いつからこんなに彼女のことが気になっていたのか、最近では見かけるたびに、声をかけてしまう。
(迷惑とか、思われてないとええけどなぁ)
そんなことを考えながら、舞台への準備を始めた。
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作者名:みぃこ | 作成日時:2023年2月16日 15時