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「彩乃さんこれは自分でしますよ」
皿洗いをしていた彩乃さんに話しかけた
「いいの。Aは美雨ちゃんをちゃんと見ときなさい」
そうまっすぐな目で言われた
彩乃さんは結婚はしていなく
2歳の時に彩乃さんに私は引き取られた
「ねえ」
リビングに向かおうとした時
彩乃さんに呼び止められた
「ちゃんと最近笑ってないでしょ」
こめかみがピクリとも脈を打った
笑っている
自分ではそう思っている
「そんなことないよ」
そう言ってリビングにいる美雨のところへ戻る
なにやら積み木でお店屋さんをしているらしい
「ママは何色の積み木が欲しい？」
何色？
何色…
形はわかるが何色かはわからない
いつか美雨にも私のことを教えてあげないと
「ママ？」
「あっごめんね…どうしようかな」
何色があるのだろう
頭が真っ白になりながら考えていると
「青がいいな」
と彩乃さんの声が聞こえた
「おばちゃんはママのために青を買います」
その時
彩乃さんにちょっとしたアイコンタクトをされた
まるで“ここは大丈夫だから”と私を守るように
いつだって彩乃さんは助けてくれる
親族の中で私を誰が引き取るか
と毎日話し合わられた時
ずっと言ってくれたのは彩乃さんだった
色が見えない
と伝えた時も
大丈夫と背中を撫でてくれた
私はこんなに優しい人を
ずっとずっと殻に閉じ込め苦しめている
大丈夫
もうすぐ解放するので
私を許してください
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作者名：ライオン | 作成日時：2019年10月6日 20時
