花氷が溶ける頃 (ページ21)

今日:4 hit、昨日:26 hit、合計:6,001 hit

19話ページ21

フェネス「お疲れ様、ハウレス。」

主様がお眠りになった後。

フェネスと2人で中庭へと出た

屋敷の灯りはほとんどが消え寝静まったように静かだ。

アモンが世話をしている薔薇たちも
暗くてよく見えない。

フェネス「主様。爆豪さんのこと、何だって？」

その質問に、何と答えようか一瞬逡巡する

ハウレス「、、、お褒めになっていたよ」

結果、そう言うとフェネスは
珍しいね、と笑った。

フェネス「主様の幸せが俺の幸せ、じゃなかったの？」

そう言って俺の顔を覗き込む。
苦しそうな顔、してるよ。なんて。

そんなの、俺がいちばん知っている。

ハウレス「それは、そうだが、、、。
主様を1番近くで幸せにするのは、俺がいいんだ。」

汚くて、主様には絶対に見せられない胸の内。

そんなものを暴露されても
フェネスは動じることなく微笑む。

フェネス「多分、そう思っているのは
ハウレスだけじゃないよ。

この屋敷の執事はみんな主様が大好きで
幸せにしたい人だ。」

ハウレス「そうだな、、、知っているよ。」

微かに笑って返すと
フェネスはさらに言葉を続けた。

フェネス「でもさ、主様には僕らだけじゃ駄目だ。
分かっているんだろ？」

そう言われて浮かぶのは
ボロボロで今にも消えてしまいそうな主様の姿

妃『もう、嫌だ、全部全部いらない。
私には、みんな以外いない。要らないの!!』

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

ハウレス「そうだな。あんな主様の姿
二度と見たくない。」

あの時に比べれば、この胸の痛みなど微かなものだ。

そうしてしばらく2人で佇んでいると
フェネスが何かを思い出したのか、こちらを向いた。

フェネス「そういえば、ボスキに頼まれてた栞
主様に渡したの？」

ハウレス「あ。すっかり忘れていた、、、。」

明日の朝渡すか、と小さく呟くと
全くハウレスは仕方ないな、とフェネスが笑った

今日も夜は更けていく。