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【3.】 ページ27

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はじめ side


Aがなかなか運転席を譲ってくれなくて、結局東京まで走らせてしまった。

コインパーキングに車を止めて、準備をする。


「私、原宿とか渋谷とか……行ってみたいです」


俺が変装用のサングラスをつけている時に、Aはボソッと言った。


は「行ったことないの?」

「ずっと静岡だったので……夢みたいです」


隣の路地では、たくさんの人が歩いていてそれをみて目を光らせている。


は「なるべくバレないようにするから」


あの時のショッピングモールでの経験を生かして、サングラスと帽子をつける。

日の出ている時の東京は見つかったら、騒ぐどころでは収まらない。


車を降りて、周りを見る。

人の少ない路地のコインパーキングなのでまだ大丈夫だ。


は「んじゃ行こっか、原宿」

「っはい!」


最新の注意を払って原宿に向かう。

目指すは竹下通り。
若者の聖地と言われている、危険な場所。

東京の街中を見て目を輝かせる愛しのAの夢を、壊すわけにはいかない。


.


「わっ」


休日だからか、人は確かに多くすぐに俺とAは人の波に流され離れそうになった。


は「あっぶねぇ!」


Aの肩を抱いて、少し人の波から離れる。


は「大丈夫?痛かったでしょ」

「大丈夫、これが竹下通りなんですね……!」


なんか感激しているようだけど、汗をかいているようだ。

初めての人混みで疲れているのかもしれない。

だって俺はそうだったから。


は「ここから動かないでね、待ってて」


人の波をかき分けて、なんとか反対側の自動販売機にたどり着いてお水を購入する。

そしてすぐに、Aの元へ……


戻る5m前で俺の足は止まる。


Aは、若い3人の男性に囲まれていた。

困り果てて縮こまったAを見て助けなきゃ!と駆け寄ろうとする……と。


男性の1人がAの腕を掴んだ。


男1「近いからさ!おねーさんに似合う服たくさんあるって!」

「あ、あの困るんです、そういうのっ」


プチっ。


俺の中で何かが切れた音がした。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時

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