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A side
恋愛経験はない。
興味がなかった。
でもこの歳になって、同い年の友達が結婚や出産をしていくとだんだん不安になっていた。
はじめさんは、優しい。
容姿もかっこいいし、少しだらしないところが母性をくすぐるというか、お節介焼きの私には良い。
だらしないといっても、やる時はやるし何より……、
(可愛い、って言われた……)
パッとしない23年間を送ってきたが、初めて自分のことを可愛いと行ってくれる人がいた。
とても信じがたい。
はじめさんは『……俺が、好きって言ったら、困る?』と聞いてきた。
そのことに私は、戸惑って何も言えなかった。
もし、はじめさんが私のことを好きだとしたら、私はそれに応えられるだろうか?
はじめさんには何度も助けられているし、今も助けられている。
一瞬、思い浮かんだはじめさんの笑顔。
安心させようと、私の頭を撫でる大きな手。
私の中で、何かが変わった気がする。
それはとても大きなことだと思う。
バカな私にはまだ気付けないかもしれないけど。
この先で何か起こる予感がする。
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作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時