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はじめ side
Aを直視できない。
「はじめさん、洗濯物出してください」
エプロンを着けてカゴを持つAが俺に言う。
は「あ、あぁ！すぐに持ってきます！」
可愛すぎる。
顔が熱くなるのを感じるほど。
は(やべぇって……やべぇ……！)
洗濯物をかき集めると、無くした財布が出てきた。
は「あ、あった」
「あ、お財布あったの」
は「おわー！」
びっくりして大声をだしてそのまま転ぶ。
「あらら、ほら」
座り込んだ俺に、Aは手を伸ばす。
白くて柔らかそうな、綺麗な手。
俺はその手を見つめて、手を握る。
……と、何を考えたのか、俺はAを引き寄せて抱きしめた。
「えっ」
戸惑うAの声が聞こえる。
は「ごめんっ……嫌なら、突き飛ばして」
身じろぎするAが、止まる。
あぁ。
あぁ、
あぁ……。
は「っA」
Aの目を見つめる。
顔を真っ赤にしたAの目が泳ぐ。
は「……俺が、好きって言ったら、困る？」
「え……」
は「もう我慢できない、A可愛すぎて俺……」
なぜか涙が出た。
こんな洗濯物に囲まれながら、告白した場所が脱衣所なんて。
いや、それ以外にもきっといろんな感情がある。
好き。
怖い。
「わ、私……」
Aの薄ピンク色の唇が開かれる。
俺の心臓が今までにない音を立てている。
た「はじめさ〜ん」
突然のたなっちが俺を呼ぶ声で、俺らはすぐにその場から離れた。
は「はあああい！」
たなっちこの野郎！
めっちゃいい雰囲気で、Aが何か言ってくれそうだったのに逃してしまった。
洗濯物を洗濯機に入れるAの耳は真っ赤だった。
惜しい、と思いつつたなっちの元へ急いだ。
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作者名：999 | 作成日時：2019年6月4日 2時
