検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:43,403 hit

11. ページ12

.

はじめ side


メインで、お酒を飲んだ。
久々に飲んでいい気分になった。

デロデロになった俺はふらふら歩きながら、Aがいる部屋へ。


は「A〜?」


部屋に入ってすぐに目に入ったAは、可愛らしくスヤスヤとソファーの上で眠っていた。


ああ、天使がいる。


本能的にか、自分の寝床に置いてある毛布をAにかけてあげた。


は「……、」


その時に気がついた。

Aの閉じられた目から、流れる涙が。

しかも、一粒ではない。
涙が流れた跡がある。

正直、いつもの俺なら多分そのまま寝かせてあげると思っていた。

でも、お酒が入っていたからか……俺はAを起こした。


は「……A」


肩に優しく触り、長くて綺麗なまつ毛が上に上がり潤った瞳が現れる。


「ん、はじめさん」

は「……寂しいの?」

「へ……?」


俺らしくない、お酒に酔って閉じ込められた自分がそう言っている気がした。


は「家に、帰りたいん……?」


Aは前に、父親に家を追い出された、と話していた。

追い出されたということは、A自身の意思ではないのではないか。

だとしたら、元の家に帰りたくて帰りたくて、涙を流しながら眠っていたのではないか。


「……ううん」


Aはハッキリと言った。

ホッとした。


「……自分は本当に、ここにいていいのかなって」


まだ眠そうなAは、悲しげに話す。


「……簡単に言えば、居候ってやつ」

は「そんなことない」


Aの瞳が揺れる。


は「ちゃんと理由があって、Aに住んでもらってる」

「……理由、って?」

は「今は言えないけど、ちゃんと言う時が来るから安心して俺の家に住んでいいから」

「なに、それ」


Aは落ち着いたのか、目を閉じる。

そしてそのまま、心地いい吐息をたてて眠りについた。


理由、というのは。

Aが他の誰かにとられないようにするため、だ。

もう決めたことだ。
彼女を幸せにするために前に進むって。


彼女にもう、不幸な思いはさせないって心の底から思って考えて、ちゃんと決めたことだ。



そして今日の俺も、らしくなかった。

12.→←10.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
設定タグ:はじめしゃちょー , YouTube , YouTuber   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン
感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。