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「そういえば、見てもらってどうだったんだ?最近ご飯の味がしないって嘆いてたろ」
どきり、と胸が鳴る。
炭治郎は、鼻がいい。
気をつけないと、私の拙い嘘なんかすぐに気づかれるだろう。
「やっぱり気づいてないだけで、風邪をひいてたらしい。鼻の奥がどうのって…詳しいことはちょっとよく聞いてなくて分からなかったけど」
「大丈夫なのか?自分のことなんだから、ちゃんと聞いてなきゃダメじゃないか」
「薬もらってきたから、きっと大丈夫だよ!」
その時、少し顔を顰めて、すん、と炭治郎が鼻を鳴らした。
冷や汗が、背を伝う。
嘘ついたこと、バレてないよね?
「なんかA、いい匂いがするなぁ。
何か花の匂いがする」
「え…?あ、これかも」
懐から出したのは、先日柱の甘露寺さんから貰った花の香袋。
沢山作ったが渡す人がいない、と半ば押し付けられるような形で貰ったものだ。
秋のうちに取っていた金木犀を香袋にしたそうで、受け取ったまま懐に入れて忘れていた。
どうやら炭治郎はその香りに反応したらしい。
「金木犀だな、いい香りがすると思った!」
「甘露寺さんから昨日いただいて、そのまま懐に仕舞ったままだった。…香り、キツくない?炭治郎は鼻がいいから、香りものは鼻にくるんじゃないか、?」
「いや、大丈夫だ。でもそうだな、ちょっと周りの匂いが嗅ぎづらくなるかな」
ちょっと厠に行ってくる、と炭治郎は部屋を出ていった。
残された部屋で、1人手のひらに残った小さな香袋を見つめる。
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みょん(プロフ) - 複雑な気持ちになりました。貴重な体験、楽しい時間をありがとうございました。! 長文失礼しましたm(_ _;)m (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - なりました。夢主の気持ちもめっちゃ分かるし炭治郎の気持ちもわかります。五感がなくなっていくという感覚などは、分からないけれど、本当に夢主になったような気持ちで読めることができました。作者様は本当に凄いですね。この作品を読んで言葉で表せないくらい (2023年3月19日 21時) (レス) id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
みょん(プロフ) - めっちゃ感動しました(泣)大号泣です!感無量です。神作品を作ってくださってありがとうございます。特に最後の子守唄を歌うシーン。段々と炭治郎の声が聴こえてこなくなって、もっと大きな声で歌ってとお願いするシーンがなんというか、とても切ない気持ちに (2023年3月19日 21時) (レス) @page36 id: 1ba8aac85f (このIDを非表示/違反報告)
ワンコ - 感動(>人<;) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 1e9b1e52b8 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 柱の物語みたいです (2021年1月19日 22時) (レス) id: 751c2cfce8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年11月23日 10時