０５ ページ5
、
「どこやったっけ〜」
「またどっかやってもうたんですか？」
家で沢山動画を見て覚えたから、もう声をきい
ただけで誰かわかる。佐久間さんと向井さんだ。
「今日はこの辺にしといてやるから早く戻れよ」
先輩の耳にも、その話し声は届いたらしい。
すぐに話を切り上げて、バシンとわたしの肩を
叩いて去っていく。
肩への衝撃が重すぎて体がぐらりと揺れる。
しっかり立たないとダメだ。
部屋に戻っていく先輩の背中に向き直って、頭
を下げる。
「ご指導ありがとうございました！」
本当は何も感謝してないし、憎くて嫌になる。
けど、もうどうしても負けたくなくて。
少し前、Snow Manのマネージャーになる前。
社長に呼ばれたんだ。
「君にも仲間をつくってほしいんだ」なんて意
味不明なことを言われて、半ば無理やり連れて
行かれた舞台。
舞台上の７人のパフォーマンスを見て思った。
こうやって感動を作り出すお仕事に携われるっ
て素敵だな、なんて。
社長に「厳しい仕事になるかもしれないけどど
うする？」そう聞かれて、即答した。
「やらせてください」そう答えたわたしはまだ、
厳しいの意味も何も知らなかった。
歓迎もされないし、理不尽も被る。何もできな
い自分のことも、大嫌いになる。
数ヶ月前のことを思い出しながら、先輩の足音
が遠ざかるまで頭を下げていた。
すると、別の足音がこちらに近づいてくるのに
気づいた。びっくりして、思わず顔を上げた。
「にゃはは、」
「、佐久間、さん、」
「保木さん」
「っはい！」
「保木さんって、びっくりするくらいまっすぐ
だね」
にこり、微笑まれた。アイドルってすごい。
その柔らかい微笑みに、全て解されたみたいな
気持ちになってしまう。
「あのマネージャーさん、当たりきついっしょ、
感謝するなんてなかなかできないよ」
「あれは！嫌味みたいなもので！」
「っはは！保木さん、思ってたより全然おもし
ろいじゃん」
はじめて、わたしに向かって笑ってくれた。
それだけで十分嬉しくて。
ほんのすこしだけ、世界が動いた気がした。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2930人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うい(プロフ) - わおさん» わおさん素敵なコメントありがとうございます、読み進めるのが苦にならないくらい楽しんでいただけて嬉しいです、これからも楽しんでいただけるように頑張ります^_^ (2021年4月10日 18時) (
レス) id: 554bbc3ab6 (このIDを非表示/違反報告)
うい(プロフ) - 名無しさん» 素敵なコメントありがとうございます、わたしもコメントが来るたびとても嬉しくてお話を書くモチベーションになっています、これからもお楽しみください^_^ (2021年4月10日 18時) (レス) id: 554bbc3ab6 (このIDを非表示/違反報告)
わお(プロフ) - 切ない気持ちと、なんだかそわそわしてしまう気持ち持ちながら、いつも読み進めさせてもらっています。今後も、ヒロインさんを見守らせてください◯また、楽しみにしています。 (2021年4月10日 14時) (レス) id: e323b3ed3d (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - こちらの作品の通知が来ると嬉しくて飛んできちゃいます。うい様のお話の進め方が大好きです。44話、めちゃくちゃドキドキしました。今後の展開が楽しみです(^_^) (2021年4月10日 12時) (レス) id: d56cf18763 (このIDを非表示/違反報告)
うい(プロフ) - ユキトさん» ユキトさん素敵なコメントありがとうございます、泣いちゃうほどの文章になっていることがとても嬉しいです、随時更新していくので楽しんでいただけるよう頑張ります！^_^ (2021年4月10日 1時) (レス) id: 554bbc3ab6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うい | 作成日時：2021年2月12日 6時
