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「ヒョン、ご馳走様です!」
「私の分までいいんですか?」
「楽しかったしね。Aさん振られちゃったみたいだし、元気だして」
「わ〜ありがとうございます!元気出します!」
それなりに飲み食いしたのに俺が出すよ、と言ってくれたチャンさんに甘えてご馳走になった。
少し遅めだったこともあってもう時間は日付が回る頃。それなのに繁華街のここはまだ明るく賑やかだった。
「じゃ、俺帰るんでAのことお願いします」
「え?」
「俺これから彼女のとこ行くんで。Aも早く寝ろよー」
「はいはい〜、ソアちゃんによろしく言っといて〜」
「おう、じゃあヒョンもまた」
ビニの彼女とは結構仲がいい。最初は物凄く警戒されたものの、今では二人で飲みに行くくらいには仲良くなった。結構かわいい子だ。私の方がかわいいと思うけれど。
私たちに別れを告げて歩いていくビニに手を振って、隣で驚いているチャンさんの方を向く。
「じゃあ、今日はありがとうございました。ご馳走様です。ビニはああやって言ってたけど大丈夫ですよ。家すぐそこですし。何か言われたら適当に言っといてください。送ったよ〜とか」
チャンビニは変なところ過保護というか、夜に飲むと決まったら今は駅近に住んでいるから問題ないけど、昔は家の近くの店を選んでくれていたし、ああやって彼女の家に行くなんて用事がない限り送ってくれてもいた。
一人で帰った時も必ず私が家に着く頃に「着いたか?」なんて連絡をくれるし、最後には「ちゃんと風呂入れよ」だの「早く寝ろよ」だの言ってくるのだ。
「もしかして気遣ってる?チャンビニのお願いだし、いくら家が近くてもこんな時間に一人は危ないよ。家の前が嫌だったらその手前でもいいから」
ニコリ、と笑って言ったチャンさんに引かないタイプの人だ、と諦めた。途中タバコを吸って帰ろうと思っていたのに、結局家までお預けみたいだ。
面倒だな、と思ったけどここで大丈夫ですといってもはいそうですか、とはならない人だろうから、大人しく言われた通りマンションの手前まで送ってもらうことにしたのだった。
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2024年2月17日 18時