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「……なんだよ、またそれ?」
「なんだよって失礼すぎない?私は毎回これで悩んでるのに」
別れた理由は「本当にAが俺のこと好きなのか分からない」だった。何をそんなに女々しいことを……と思うが、理由は決まっていつもこれ。
そんなことないと思うんだけどな。愛情表現もするし、付き合ってる人にはそれなりに特別感を出しているつもりなのだけど、結局はつもりなだけだったということだろうか。
「男ってさ、ちょっと縛ると愛が重いって嫌な顔するくせにそんなこと言ってくるの、本当にありえない」
少し前に来ていた頼んだビールをごくりと飲んだ。そんな私にチャンさんは「おぉ、いい飲みっぷり」と言っていたからニコリと笑っておいた。
こんな話を男の前でするのもどうかと思うけど、幼馴染が男なのだから仕方がない。それに、チャンさんはどうか知らないけどビニはヌナがいるためある程度慣れている。ここぞとばかりに元彼の腹が立ったところを上げていった。
「ま、そんな男と別れてよかったじゃん。次行こ、次」
「そうね。私に振り向く男なんてたくさんいるんだから!」
「それ、自分で言う?」
「あたりまえでしょ」
更にビールを煽ってそれを飲みきる。チャンさんはさっきと同じように、おお、と言ってぱちぱちと拍手していた。
今度はチャミスルをもらっておつまみを口にする。チャンビニの大学生時代の話を聞いたり、二人がどんな関係なのか詳しく聞いて話に花を咲かせていたらタバコを吸いたくなったけど、お酒とご飯で抑えた。
ビニは私がタバコを吸ってると「身体に悪いからやめろ」と言っていちいち私の指からタバコをとって火を消してくるタイプだから、最近はトイレとか何とか言って誤魔化している。本当に誤魔化せているかは分からないけれど。
「ちょっと花摘みに行ってくるわ」
ふざけて言ったチャンビニに、私とチャンさん二人になってなんとなく気まずい雰囲気が流れる。
何か会話をしようとして一生懸命捻り出したのは、そういえば年齢聞いてないな、と思い「チャンさんはおいくつですか?」と聞いたのだった。
「えー、俺?」
「あー待ってください、当てます。私得意なんですこういうの」
「お、ほんと?いいね、当ててみて」
「ん〜にじゅう……6!26歳!」
「おぉ!凄いね!ピッタリ!」
「わ、ほんとですか?」
当てるも何も、チャンビニとの会話を聞いていたらなんとなく分かるのだけど、それを言ってしまったら場はシラケるため黙っておいた。
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2024年2月17日 18時