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「Aさんは何のお仕事されてるんですか？」
「ただのOLだよ。しがない会社員」
「それでもちゃんと続けられてるの凄いです、たまに心配になるので……」
「気負っちゃダメだよ。失敗してもそういうことあるよね〜とか、次頑張ろ！の精神で、気楽にやんなくちゃ」
私は結局、タバコやお酒に走ってしまったわけだけど、まだまだ若いのだからそんなことにはならないでほしい。タバコに関しては一度吸うのをやめていたのに、結局社会人になってからまた吸うようになってしまった。
「雨じゃないのにまた会うなんて、ちょっと嬉しかったです」
「ジョンインくんは？家で洗濯しないの？」
「一人だしあんまり洗濯しなくて、週に何回かまとめてドバっと」
「あー分かる、面倒だよね」
「Aさんは？」
「洗濯機壊れちゃってさー、この時間じゃお店やってないから」
お風呂に入っている間に洗濯機を回して、その後部屋干ししてしまおうと思っていたのだ。それなのにあの洗濯機といえば……別に古いものではないんだけどな。今年って厄年だったっけ、と考えるほど年が明けてからいいことがあまりない。
「じゃあしばらくここ通うんですか？」
「うん、そうなるかも。一先ず……もう来週には旧正月だから、そのくらいまではね」
「じゃあ、またAさんに会えたらいいな」
「ジョンインくんかわいいね、モテるでしょ？」
「そんなことないですよ」
両手を胸の前で振るジョンインくんは、初めて会った時と同じように目を細めてかわいらしく笑っていた。あの時はマスクで見えなかったけど、笑うとえくぼができていてより一層かわいらしく見える。
そうだ、とさっきご自由にどうぞ、と書いてあるカゴから持ってきた飴をジョンインくんに「どうぞ」と渡した。
「飴ですか？」
「うん、舐めようかと思ったんだけど、私これからタバコ吸いに行くから、あげる」
「ありがとうございます、Aさんからプレゼントもらっちゃった」
「プレゼントって、そこにあるやつだよ」
「はい、でも、良いんです」
封を切って口に飴を入れたジョンインくんは、口の中で飴を少し転がしてから「甘い」と一言呟いた。
「それじゃあ、私はそっち行くから」
外の灰皿を指さしてコーヒーを持って外に出た。ちらりとジョンインくんのいる方を見ると、小さく手を振っていて、本当にかわいらしい男の子だな、なんて思いながら煙を吐いた。
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作者名：さくらんぼ
| 作成日時：2024年2月17日 18時
