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「……嘘でしょ、しっかりしてよ!」
バン!と洗濯機を叩くとガコン、ガコン、と動きだし直った……!と喜んだのもつかの間、すぐに動きが止まって、今度はうんともすんとも言わなくなった。
洗濯機を回そうとしてスイッチを押せば、いつも通り動き出すはずがピー、ピー、とエラーのような音を出し、何とか直そうとするも、失敗。
本格的にコインランドリーのお世話になることになってしまった。
「……あ」
「あ……」
この前と同じところの一番近いコインランドリーに向かうと、私のことを起こしてくれた男の子が先にいて、どうも、とお互い頭を下げた。今日はマスクをしていなくて、一瞬見ただけでもかわいらしい男の子だと分かって少し驚いた。
洗濯と乾燥が一緒になってる洗濯機に洗濯物を入れ替えていると、近くで同じようにしていた男の子が「あの」と声をかけてきたため、その男の子の方を向いてから手を動かす。
「ちゃんと休めてますか?」
「あ〜……この前のことですか?あの時、たまたま二日酔いだったので。今は全然、元気ですよ」
「それは良かった」
お金を入れて洗濯機を動かし、この前と同じようにコーヒーを買って椅子に座った。
ちょっと広めのコインランドリーで、カウンターのようになっていてかなりいい。今日こそはイヤホンを持ってきたのだけど、なんだかする気にならなくてしまったままにした。
「……隣、座ってもいいですか?」
「あ、どうぞ」
男の子は私と同じくコーヒーを持って隣に座り込んだ。
何となくぎこちない雰囲気が流れて、どうしたものかと思っていたら「僕、ジョンインって言います」と、話しかけてくれたのだった。
「この前、お姉さんのこと見かけて気になったので、話しかけちゃいました」
「随分ド直球だね。私はAだよ、ジョンインくん学生?」
「はい、と言っても春からは社会人ですけど」
「じゃあ今がゆっくりできる最後のチャンスだ」
やっぱり学生だったみたいで、若いなぁと羨ましくなった。春から社会人なら私より二つ下というところだろうか。
もうちょっと下かな、と思ったけどそこまで離れていなかったらしい。
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2024年2月17日 18時