16 ページ16
.
「ヒョンも素直になったらどうですか？Aが気になるって」
「別にそんなんじゃないよ、ただ面白い子だなって思っただけ」
ヒョンとAと飲むことになった日、Aが少し残業するとかで先にヒョンと二人で店に来ていた。Aはヒョンと何があったかを端的にしか話してなかったから、ほぼ相席屋みたいな店で男二人に話しかけられてたなんて知らなかったし、後で説教だな、とヒョンの話を聞きながら考える。
「Aさんって結構派手なの？交友関係とか」
「派手っていうか……派手よりもかけ離れてると思いますよ。あいつ友だち全然いないし。いないってのは違うか……まあ、彼氏はころころ変わりますけど」
「ふうん、そうなんだ」
「うわ、今の全然興味なさそう。なんなんですか？ヒョン、Aと友だちになりたいんですか？あ、もう友だちなんだっけ？」
「一応ね」
友だちから始めないか、なんて言ったんだっけ、このヒョンは。AもAで友だちからなら、と返すあたり、特別嫌になってるわけじゃないんだろうけど、言ってしまえば非常に面倒くさい。
いい大人なんだから、俺なんかに頼るなと言いたくなるものの、ヒョンはともかくどうしてかAから頼まれたら断れない。
「二人がどんな関係を築いていくのか、別になんでもいいんですけどAのことは傷つけないでくださいね」
「俺、女の子傷つけたことないよ」
「よく言うよ、ヒョンって誰にでも優しいから結構女の子泣いてましたよ」
「えっ、マジ？」
「嘘です。ともかく、Aのこと泣かせたり傷つけたりしないで。俺はヒョンと仲良いし後輩だけど、Aは大切な幼馴染なんですよ。あいつのこと傷つける奴って俺許せないから」
Aのことをよく知っているから、傷ついてほしくないし幸せになってほしいと思う。だからいつも世話を妬いてしまうし、気にかけてしまう。それに、俺の知り合いがAを傷つけたと聞けばヌナも怒るだろうし。
「大好きじゃん、Aさんのこと」
「まあね、なんだかんだ言って良い奴だから」
「ふうん」
「ヒョン……なんていうか、あいつは寂しがり屋なんですよ」
「そう見えなかったけどね」
「隠してるんですよ。ヒョン、そんなのも分かんないの？はあ、ほんと……とにかく！絶対に傷つけないでくださいね！」
「分かったよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 742人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらんぼ
| 作成日時：2024年2月17日 18時
