14 ページ14
.
「……あたま、いたい」
目が覚めると、テーブルの上やキッチンが綺麗に片付けられていて、私には布団がかけられていた。なんとなくベッドまで自分で行ったところまでは覚えているけど、そこからは多分寝てしまっていてチャンビニが帰ったのも気づかなかった。
テーブルの上に「起きたら水飲め!ポストに鍵入れときます」なんてメモが置いてあって、ポストから鍵を取りだしいつもの場所に戻した。
蛇口を浄水に合わせてコップに水を入れて飲み干した。ソファに置いたままだったカーディガンを羽織って、ベランダに出る。タバコに火をつけて外を眺めた。外にはいつもの大きな犬を連れて歩くおばさんや、近くの公園では子どもたちが遊んでいる。
「暇だなあ」
こういうとき、どこか遊びに行こうよ、と誘える友だちがいればいいのだけど。広く浅くの関係を続けてきてしまったせいか、気軽に声をかけられる人なんていない。なんとも寂しい人生だなと思う。
彼氏ができたとしてろくでもない人間ばかりだったし、私には本当にチャンビニとオンニしかいないんじゃないか、と考えて頭を抱えそうになった。いっそのことマッチングアプリでも始めようか。
スマホを開いたところで、ピコンとメッセージが来て名前も見ずに反射的に開くと、そこには「バンチャン」の文字に思わずタバコを落としそうになった。火事寸前。
「こんにちは」
「明日の夜ご飯でも行かない?」
「暇だったら、チャンビニでも誘って」
ポンポンポン、と送られてくるメッセージに「めんどくさ」と思わずもれてしまった。というか、昨日チャンビニと飲んだばかりなんですけど。かと言って、二人きりも空気終わってそうだし、なんだかなぁ。
なんて返そう、と思っていたら今度は昨晩一緒にいたチャンビニから電話がかかってきてそれに出る。
「あのさ、君たち二人でやってくんない?」
「チャンさんのこと?」
「二人で飲みにいけ!ってヒョンに言っとくから!」
「えーやだ二人で行きたくないビニも来て」
「あのなぁ……あーもう、分かったよ。いつか奢ってもらうからな」
「はーい」
また後で俺から連絡するわ、と電話を切ったチャンビニにメッセージでありがとう、のスタンプを送った。というか、別に行かなくたってよかったんだけどな……
リビングに戻って、タバコを置いてから、昨日お風呂に入ってなかったのを思い出して風呂場に向かった。
「うわ、溜まってる……」
忙しくて二日分ほど洗濯物が溜まっていて、先に洗濯機を回してコインランドリーへ行くことにしたのだった。
744人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくらんぼ | 作成日時:2024年2月17日 18時