捨て犬と先輩 6【HQ】

252 及川 ページ2

このご夫婦の話を聞いていると、なんだか自然と笑みが溢れてしまいそうだった







Aがどれだけ愛されてるのか、お手伝いさんも含めた三人からとても伝わってくる







話によると。







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俺が来た時、お手伝いさんは相当焦ったそう。







『…旦那様…！！奥様…！！！』








確かに俺がAと話している時に、いつの間にかいなくなっていた気もする






その時、中に入って三人で感動してたそうで









『……A様が…！』




『そんなに焦って、珍しい』





『立花さんがいらっしゃったのか？』






『…立花様ではない、高校生の男性の方が…！！』






お手伝いさんのその一言にみんなの瞳が一瞬にして変わり、みんなで隙間からそっと見ていたらしい








『…どれ』



『……ジャージだ。』





『…これは…！』







『…A様の様子も少し変で…』





『…やっぱり私たちの知らないところで、そういう方がいたのね』







心を痛めながらも、そう話しながら安心していたようだった







どんな関係か分からなくても、ここにまで来てくれる人がいながらも




許婚を受け入れた事が、だいぶ二人には大きかったみたい








『…まだ泣くのは早い』







旦那さんはお手伝いさんにそう言ったそう。






…あなたが先に泣いてたんだ。








と、思ったら奥さんももう既に涙ぐんでいたそう。








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『機械の様に縦にしか頷かない子が、今日あんなに自分の意思をぶつけてくれたのは初めてだ』








そう涙ぐみながら言うおじさんもどこか嬉しそうだった







『ゆっくりしていってね』






そう微笑んでくれたおばさん







彼女はとてつもなく、愛されてる






アイツ自身感情表現が苦手なはず。






だからこそ、上手くコミュニケーションがとれないんだろう









アイツは周りをよく見ているから、すぐに自分を犠牲にして気を使おうとする







生意気で自分勝手






だけど、きっとそれは家では押さえ込んでいるんだろう







Aの頑張りにもまた心が熱くなった







及｢…もっとお話はしたいです




だけど、僕もこの後部活があるので失礼します｣








今日、部活が始まるのがいつもより遅くてよかった






想いを伝えようとは思っていたけど、こんな展開になるとは予想もしてなかったし考えてもいなかった






及｢よろしく伝えてください｣

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