捨て犬と先輩 4【HQ】

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心の中でいろんな感情が混ざり合う







緊張？


恐怖？


悲しみ？


苦しい？






｢…ごめん、昨日。




行けなかったし話も出来なかった｣








……でも




昨日、あそこに言ったところで結局のところ話をしていたのかわからない






特に反応が気になるわけでもない







及｢うん。…まあ俺も前、そんな事あったしこれでチャラってことにしよう｣







及川はいつもと変わらない様子だった






そんな反応に安心してる自分もいるし、ビビっている自分もいる







…言わなきゃ







"え？無視？"


"ワンしか言わないし"




"お嬢様のくせに生意気だよな"


"生意気でいてよ"




"俺にも笑顔見せてよ？"





"お前といると自分がよく見える"









……………っ






こんな時に今までの事が、嫌なほど頭に浮かんでくる







言うと決めたはずなのにまた喉の奥で言葉が突っかかる







及川のいつもと同じような少し微笑んでいるような顔も、少し違って見える








何かジワジワと熱くなって、本人を目の前にしてるからか胸が死ぬほど苦しい







私が何かを言おうとして待っていてくれてるのか、そんな姿でさえ嫌だと感じる









｢……あのね…｣








やっと出たと思った声より、頭に重みを感じて思わず口を閉じた







顔を上げると及川がまたいつもと変わらない表情をしていた







及｢試合が終わってから聞くから、今度は絶対に教えてよ。｣







いつもより大きく響いて聞こえる声






また胸が強く締め付けられた







私は頷くことしか出来なかった







｢…試合、頑張って｣






応援は口にすることが出来るのに。






自分が悔しいくらいに意気地無しだ。








及｢今日。お前はただ青城を応援してればいいんだよ




そこの泣き虫くんもね！｣







及川は付き人を指さすと、付き人は少し驚いていた








『……泣き…虫…くん…』






及川に相手をされると嬉しそうだったのに、呼び方に少し不満があるのか顔を歪めていた







及｢じゃあね｣








そう言って私の頭から手を離して軽く手を振った






後ろにいた見覚えのある人達も手を挙げていたから、私は頭を下げた








……………………………







…………っ








彼らにとって今から大事な試合






…当たり前の話だ







付き人がなんとも言えない表情をしていたのは気付きもしなかった

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