捨て犬と先輩 4【HQ】

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『おはよう』







同期に声を掛けられ同じように返す






各自書類をまとめたり、お嬢様の席の準備を始めていた







望むもの



清潔さ





いつもと同じ





いつもと違うものは、朝、書類を提出しに行った時に呼び止められた事








『貴方はしばらく出勤を停止されています』








胸が強く締め付けられる






………？






書類を受け取った相手は、書類を隣に置いて別の紙に目を通していた






何かを確認しているように。








『…えーと？あら、珍しい。見ない名前ね





彼女からの罰は………初なんですね』








気味悪く大きく心臓が跳ね、時が止まったようにゆっくり時間が流れていく








…………………








……………罰……？






……何かの間違いでは……








勝手な事をしておきながらそう思ってしまった








彼女は少し気まずそうに微笑みながら、私の顔を見ていた







『…お嬢様から聞いていないようですね？





昨日、連絡があったみたいです』








しばらくは無かった、胃の痛み






久々にジワジワと緊張感が走り、胃が痛む








少し苦しい





いや、少しじゃないか







『貴方への罰は、







1ヶ月、自分の付き人を辞めて欲しい






との事です』








大きな存在





大きな存在だったからこそ、頭が真っ白になった






頭も痛む





夢




夢






夢であって欲しい







『…書類は預かります




ですが、お嬢様に近付くことは許されません






自室、または帰宅という形でお願いしますね』







重たい足を引きずるようにその部屋を出た







思わず胸を押さえた







死ぬほど苦しい






あの時とは違う苦しさ








お嬢様のいろんな顔が頭に蘇り、ますます胸が締め付けられる








……………………っ







……………俺は…何をやってるんだ……っ








『大丈夫か』






同じ付き人にそう声をかけられ、俺は顔を上げた






いつの間にかその場に座り込んでいたようで、彼が手を差し伸べてくれていた







『…悪い』






その手を立ち上がるも、それだけ言って自室へ向かった








…………………胃が痛い






……昨日、あんなに冷たいA様は初めてだった







それほどの事をした






分かっておきながら、彼女の想いを裏切るような事をした







当たり前の結果なのに、ショックが大きいのか受け入れる事に苦しさしか感じない

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