検索窓
今日:21 hit、昨日:3 hit、合計:75,897 hit

168 ページ18

………






「…一人で帰れるよ」







そう言うと付き人の顔つきが変わった気がした







「……ほら、あの人もいないし…!」







きっと、駆け寄ってきてくれた人達が…





なんて考えていると、いつもの落ち着いた付き人は顔つきを変えたまま口を開いた








『…申し訳ありませんが、彼は逃げました



なのでいつどこで現れるのか分かりませんよ』







心臓がトクンッと大きく音を立てた







………え?




…優秀な付き人が………







驚きもあり、返す言葉もない








『…立花様でよろしいでしょうか』








またさっきとは違う緊張感が体に走った








「…いや、呼ばなくていい…!」






なんで…今……






こんな事は言っちゃいけないけど……





今は出して欲しくない名前








そもそも何で…







『……いずれにしても立花様の耳には入りますが。』







いつに無く対応が冷静だ




…冷静は通り越すぎるくらいの落ち着き。







嫌な風に鼓動が早くなる








「…今日の事は今まで通り言わなくていい」







いつも言わないでくれたじゃない





何でいきなりそんなことを言うの








胸がまた苦しい







すると付き人は少し俯きがちだった顔を挙げて、大きく息を吐いた









時が止まるような感覚で辺りの音がなくなり、静寂が広がる






それでも付き人の声が嫌なくらいはっきりと耳に届いた









『…立花様は貴方のことを大切に思っている許婚様です






言ったはずです





それなりに対応は変わる、と』









………っ!!!!






その時に見た付き人の瞳は色がなく冷たさしか感じない、真っ直ぐとしていた






「……何言って…!」







私はつい付き人の服を掴んだ





周りに人がいるのに。







私が言おうとして言えなかったのも…






…全部………っ…知ってるはずなのに…!








白「……許婚…?」








近くでそう呟く声に私はあえて反応しなかった







…………。







『…失礼致しました



……勢いでつい口が滑りました』







……………………






…………







腹の底から湧いてくるいろんな感情







怒り




絶望






自分の中で何かが崩れていくような音が聞こえる







変わりかけていた心の中





また闇へと引きずり込まれていく気がした

169→←167



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (88 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
141人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

PUPU(プロフ) - こんこんさん» ありがとうございます(´;ω;`)期待に応えられるよう頑張ります!!! (2019年4月11日 8時) (レス) id: 1af456bb3b (このIDを非表示/違反報告)
こんこん - こんばんは、PUPUさん!初コメ失礼いたします!この作品、とても面白いです!夢主ちゃんに波乱の展開が…!?もう、すっごく楽しみに待ってます!頑張ってください!! (2019年4月10日 23時) (レス) id: e238538397 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:PUPU | 作成日時:2019年3月30日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。